「タカ、起きてください」

 身体を揺り動かされ、意識が覚醒する。

「どれくらい経った?」

「二日半くらいです」

「そんなに!?」

 力は入らないし腹が大合唱をしているのも無理はない、か。

 コカナシから白湯を受け取ってゆっくりと喉を潤す。ああ、染み渡る。

「いや、気持ちはわかりますがのんびりしないでください」

「え?」

「私が無理やり起こした理由がわかりませんか?」

「……あ」

 後ろを見ると例のポッドが置かれていた。

 蓋は開いていて、数年前から変わらない智野の姿がある。因みにちゃんと服は着ている。

「おい、起こせたか? 起きないならこの健康ゲキまず薬草茶でも口に……おう、起きたか」

「空きっ腹に物騒なもの入れようとしないでください」

「一応健康なんだがな……経過は良好、そろそろ目覚めると思うぞ」

「……はい」

 智野に視線を向ける。少し間を置いて彼女が身じろぎをした。

「智野……」

 呼びかけると彼女は小さく伸びをして__



 __ゆっくりと、目を開けた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る