君と世界の終わり
蜷川杏果
第1話 ぼくとせかい@るーぷ
今気が付いた。この瞬間をどっかで経験している。
珠美が新商品のクレープを頼んで、でも売り切れてて。仕方なく八つ当たり気味に俺の分まで苦手なクレープを買ってきて。俺がそれを苦し気に食べてる横で珠美が俺の買ってきたたこ焼きを食べている。
そしてそのあとは……
「ゲーセンでも行こうか?」……なんとなくゲームセンターを覗いて珠美も俺も何もせずに帰る。
「た、たまみ、」声が震える。なんでだろう。なんでだ。何でわかる気がしちゃうんだ。
「なに?」俺が覚えた違和感に応えたい俺。できるか……?
「あ、あの、……俺お腹すいた!」ダメだ!いい言い訳が思いつかなかったよ!
「へ!?」普段はおとなしい珠美も驚く俺の奇行である。そりゃな!さっきまでもの食べてた人間の発言とは思えないよな!
「ハンバーガー食べよう行こう!」さっきクレープを食べたフードコートとは別にあるチェーン店へ。
「い、いいけど……」
少し長すぎるデジャブに、なんだか心の底から怖くなった。いつもはワンシーンなのに。
帰り際。いつものようにバスが隣りを通っていく。普通だ。珠美に「体調が悪いの?」と聞かれているけれど……まぁいつも通り、予測されていたり、予見されていたりする事柄はない。
ただのいつも通りだと思ったか?残念だったな!
待ち構えていた母さんが作っている晩御飯にすごい既視感が。デジャブー。
「ただいま」
「おかえり」
「ちょっと調子乗って食べすぎたからご飯あんまり食べれない」
「あらそう?わかった。」母さんが空の器を渡してくれる。自分で好きな量を盛りなさいということだ。とはいえちょっとは食べたけど。適当な相槌を打ちながら眺めたテレビの内容とかに恐ろしさを覚える。デージャブ。
「ごっそさん!」とか言いながら追いかけてくる恐怖とヨーイドン。そして気晴らしに宿題だ!なんだその響き。宿題が気晴らしって。いやな汗が出そうだ。
俺選手一着でゴール。恐怖選手まだ追いつかないか。
夏休みが始まってから開けてなかったエナメルを開けて、取り出したるは厳しい数学の古森先生が作った日付つきの宿題である。数学は好きだ。英語は大嫌いだけど。毎日やってなくても、溜まってても解く自信があった。だからこれからや
「え」ここで言う。俺は国公立の二次試験を受けないといけないケースは考えていない。推薦を狙ってる。それがダメなら二次試験のない私立でいいということになっている。だから、先生の作った北大だの東北大の問題に既視感があるわけがない。
「進研ゼミで見た問題だ……」んなわけあるか!恐怖選手がようやく俺の部屋にゴール。俺選手の肩を叩きます。ひえー。
でもとりあえず解く。俺が見たことのない問題が出てくるまで解く。やる気は十分、一生懸命取り組む。……結果は、俺の努力に応えてくれなかった。
もう認めます。ごめんなさい。何かよくわかんないけどごめんなさい。俺の気のせいだと思いたかったです。違いました。ループだと思います。朝ごはんに既視感があります。デージャブー。いやまあ朝食も晩御飯も大したパターンがあるとは思えないけど、でもいやなんだ。いやな感じがする。
ということはだ。何だろう。そもそもなんでそんな非現実的なことが起こってるんだろう。何が問題なんだ。どうしたら明日が来るんだ。
「―――――ということだ」
「おうよくわかんなかった」本当にはっきりモノを言うやつだけど。残念ながらこいつは嘘はつかないので助かる。
「なんかたぶん俺たちはループしている。そういうタイムループの小説とかって知ってるか?」
「知ってはいるけど」
「なんでループしてるの?」
「んんん……何か強い力を持った人間の意思、みたいな感じかなあ」
「強い力?」権力かな?
「まほう、とか?」……えっと
「お前そんなこと言うタイプだったっけ?」こいつはそういうの馬鹿馬鹿しいとか言うタイプかと思ってたけど。というかお前現実主義者じゃないのかよ。ただのラノベ読みだったのか。
「いや聞かれたから言っただけだよ」
「そうか」と返す。
まほう。
「信じられんな」魔法。小説とか漫画とかアニメとかゲームとかそういうものでしか見たことないぞ。でももしもループが起こっていて、また最初から戻ってしまうなら……
いつから俺はやり直ししないといけないんだろう。
If Subjects = Achieve Then
Date = Continue
Else
Date = Return
End If
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