第8話

「今日から2,3週間、数学の授業は大岡先生にやってもらうから、みんな静かに聞くんだぞー。」

そう言って担任と広岡先生は教室から出て行った。


すぐさま教室がざわついた。

「おいおい、すげぇかわいいじゃん!4限目楽しみだわ!」

「俺、あとで話しかけに行こうかな。」

「すごいが髪きれいだったね!どんな手入れをしてるのかなぁ?」

などと男女共に注目の的となった。


数学の授業になった。数学があまり好きではない俺は窓の外を眺めていた。

ふと自転車置き場に目をやると、登校時にはなかった真っ赤な自転車が停まっていた。


もしかして広岡先生の自転車なのだろうか?名字は宮田ではないが、タイミング的には可能性はないわけではない。

あれこれ考えているうちに瞼が重たくなっていった。


――――――



「これでどうだー!」

女の子がそう言いながら碁石を置いた。しかしそれはささやかな抵抗であった。

俺が碁石を置くと女の子はあきらめたようだった。

???「あー負けたー!石動君って囲碁強いんだね!もう一回やろうよ!」




――――――




「…ぎ君!石動君!」

顔を上げると目の前には生徒名簿を持った広岡先生が立っていた。

「寝てたらダメでしょう?ほら、姿勢正してノートを取る!」言い方だろうか、怒られているという気分にはならなかった。

「石動君、反省してないでしょう?罰として今日の課題職員室まで持ってきてね。」


澄んだ目を持つ彼女の言葉を否定することができなかった。

「いいなぁ、俺も罰受けたいなぁ」などとよくわからないことが聞こえてきた。

しかし、さっきの夢の女の子、どこかで…


(byらゆと)

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