窓の外

 私は、窓の外を眺めることが好きだ。

なぜか?

私は、広い部屋の中に閉じ込められているからだ。

私にもこの部屋は広すぎて未だにどこに何があるのかよくわからないし、その全貌を把握しきれていない。

なので、この部屋を探検することも十分に楽しいことではある。

だが、その楽しさは孤独なものだ。

探検するのにも一緒にしてくれる仲間はいない。一人で探検をしなければならない。だからこそ私は、窓の外に憧れを感じる。

窓の外では、家族団らんの様子だったり、友達同士でゲームをしている光景を見たときは時代も変わっているんだなと思った。


私も、窓の外の世界を味わったことがないわけではない。

子供だったときは、私もよく窓の外にいた。

あの頃は楽しかったなあ、と今でもよく思い出す。

当時はその楽しさ、良さが当たり前で普通のことだった。そのように思っていた。これは永遠に続くことなのだろうと。


しかし、いつからだろうか?私が窓の外の世界に行けず、閉じ込められたのは。

私が窓の外に行けなくなったとき、必死にもがき苦しんでいた。

窓の外に出るためにいろいろな方法を試してもみた。

しかし、どれも効果はなかった。

そして、いつの日だったか私は悟った。

「私は、窓の外の世界にいることは許されないのだ」と。

それを思うと、悲しさが急にこみあげてくる。

この生活にも慣れてきたはずなのに、まだ窓の外への憧れが消えていないのだ。





私は窓の外に広がる光景、家族が楽しそうに食事をする光景やRPGをしながら遊んでいる子供たちの光景、を眺めながら私は今日の孤独な食事のための探検に向かう。


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