「一時閉幕」

 さて、長らく「不定期更新」としてきました本作ですが、ここで一旦「閉幕」としたいと思います。

 理由については2018年8月20日付の「近況ノート」にも書きましたが、ここで改めて書いておきたいと思います。


 主な理由は二点。


 一点は、単純に更新の時間がとれなくなった為です。

 本作を書くにあたっては、小説を書く以上に労力・時間を伴いますし、万が一にも誤った見識を広めるわけにもいきませんので、「裏取り」に結構な時間を費やす必要があります。

 また、投稿したものに対して感想だけでなく、ご質問やご意見なども頂くことがあり、それらに返信するのにも更に調査・検討が必要になってくるという、雪だるま式に時間をとられるケースも少なからずありました。


 時には、本文とはあまり関係のない正直よく分からない「反論のようなもの」を頂き、真面目に返信したのにコメントを消されて音沙汰が無くなったり、はたまた「ケンカを売ってるのか」と恫喝されたこともありました。

 そのようなケースはごくごく少数ではありますが、少なくない時間と精神力を浪費させられ、しばらく何も書けなくなったこともあります。


 そういったこともあって、貴重な時間をこれ以上費やせない、という判断に至りました。



 もう一点は、本作が想定以上に検索エンジン経由での読者を獲得しており、筆者である私の想定していなかった読み方をされていることを知ってしまった為です。


 本作では、日本語というものを扱う性質上、繰り返し『完璧な「正解」が無いのが言葉の世界』ということを主張してきました。

 また、「大多数の人間が使っている誤用」や「本来的な意味で使っている人間のほうが少数」という、逆転現象を起こしている言葉についても何度も紹介してきました。

 変に「正しさ」にこだわるよりも「伝わりやすさ」の方が大切だ、とも。


 しかし、アクセス解析を眺めたところ、どうやら検索エンジン経由でいらっしゃった読者の方々は、自分が調べようと思った言葉に該当する項目だけを読んで、それ以外の部分は殆ど読んでいないことが判明しました。

 それで少し嫌な予感がして、定期的に外部サイトでの本作の紹介のされ方をチェックしていたのですが……案の定でした。


 「このサイトには●●は間違いだって書いてあるぞ!」「■■の方が正しいからこっちを使おう」


 いわゆる「誤用警察」的な方々が他人にマウントを取る為の道具として、本作を使っていたのです。

 これでは「言葉狩り」の手助けをしているようなものです。


 もちろん、そういった「誤用警察」の方々は少数ですし、そもそも本作をきちんと読んでいるのか怪しい解釈しかしていないケースが殆どでしたが……それでも、たとえ少数でもそういった人々に利用されてしまっているという事実が、私の心を大きく抉ったのは確かです。

 「もっと構成を工夫すれば、こんな悪意的な使われ方はしなかったのに」等と、悶々とした気持ちで眠れぬ夜を過ごしたこともあります。


 全面的に改稿して、そういった使われ方をしないようにすれば――と考えたこともありますが、上記の通りただでさえ本作に関わる執筆作業は時間を要します。

 全体の構成をいじりつつ、整合性をとりつつ、読者の反応を見つつ……等といった作業を続けていては、時間がいくらあっても足りません。何より、気力がもちません。


 私のカクヨムでの活動の目的は小説の執筆ですから、それをする時間と気力が無くなっては本末転倒です。

 そういった思いが募り、本作を「一時閉幕」とする判断に至りました。

 非公開にすることや作品自体の削除も考えましたが、それは流石にフォローしてくださっている方々や毎回コメントや応援をくださっている方々に失礼だろうと考え、踏みとどまることにしました。

 「完結」ではなく「一時閉幕」と銘打った点を、忖度いただければと思います。


 また、今後は本作への応援コメントやレビューに対しての返信も、基本的に行わないようにします。

 何か致命的な間違いや誤謬のご指摘を受けた場合に限り、本編にその旨を追記するのみとします。


2018/8/22 澤田 慎梧

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る