15.変換機能のイタズラ――間違われやすい「同音異義語」

 一昔前のパソコンや携帯電話の日本語入力システムは、漢字変換に難があり、沢山の愉快な誤変換を生み出してきました。例えば、私も「削除中」という簡単な言葉を書こうとして、「裂く女中」等という物騒な言葉に誤変換されてしまった覚えが……。

 特に、人名・地名の変換が弱く、様々な珍変換が存在しました。今でも、所謂「まとめ」サイトが現存しているので、興味のある方はGoogle検索などで探してみてください。よい息抜きになりますよ。


 さて、近年の日本語入力システムは進歩著しく、現存する人名や地名、ものによっては新語もすぐに変換辞書へと収録されるので、こういった誤変換はかなり少なくなってきました。更には、タイプミスなどの打ち損じもシステムの方で補完してくれる機能があるなど、10年前と比べても格段にクオリティが上がっていますね。

 しかし、人間とは「便利」に依存しやすい生き物。システムの信頼性が上がってくると、それに頼り切ってしまい目視でのチェックが甘くなりがちになるのか、web全体でもカクヨムでも、様々な誤変換が見落とされたまま投稿された文章を数多く見かけます。

 ですがこの誤変換、上記の「裂く女中」のように意味不明な、一見して間違いと分かるものではなく、きちんとチェックしないと気付かないものが多く、昔とは質が変わってきているのも確かなようです。


 中でも多い誤変換は、所謂「同音異義語」です。例えば「移動」と「異動」、「参加」と「傘下」などそもそもの意味や字面が違いすぎるものは流石に間違いに気付きやすいのか殆ど見かけませんが、「かえる(変える/代える/替える/換える)」等はよく間違えて使われている例を見かけますし、日常ではあまり使わないような言い回しを間違えた――「首を刎ねる」が「首をねる」になってしまっている――文章も見かけた事があります。


 また、昔から変わらぬ誤用の典型例の一つに、「内蔵」と「内臓」の取り違えがあります。「カメラ機能内臓」等という、ちょっとドキッとする誤用を見かけた覚えのある方は、案外多いのではないでしょうか? これもパソコンや携帯電話の日本語入力システムの誤変換が生み出した誤用の一つですね。今、私がこの文章を書いた際にも何故か一発変換されました(苦笑)。


 日々進歩する日本語入力システムですが、それに依存せず、常に文章と向き合いながら作品作りをしたいものですね。

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