もしかしたら存在していたかもしれない物語。
ごんべえ
第1話 もしかしたら存在していたかもしれない物語
もしかしたら存在していたかもしれない物語について語ろうと思う。
それは、あなたの物語かもしれないし、あなたの知人の物語かもしれない。
僕の物語かもしれないし、僕の知人の物語かもしれない。
答えは失われて久しく、最早それを知る手段はとうになくなってしまっている。
僕は言う。
「これは、僕の物語かもしれない。『かもしれない』というのは、僕にはそれを証明することができないからだ」
彼女は言う。
「これは私の物語かもしれない。『かもしれない』というのは、私にもやはり証明する手段がないからだ」
もし、これを読んでいる酔狂な人物がいるのなら、僕は、僕のたった一つの願いをあなたに託したいと思う。
―――どうか、産み出された物語の結末をしっかりと見届けて欲しい。
これから語られるのは、途切れた断片の物語だ。
だからこそ、その連なりの果てにあるものを見届けて欲しい。
途中の物語は途中の物語でしかなく、それはどこにも辿りつくことはないのだから。
もし、あなたが慈悲に満ちた人間だと自称するのなら―――
この願いを聞き届けて欲しい。
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