第20話 一食一味

「これ食べて」

 小さなバナナが1本

 飲みかけの豆乳。


「ケーキ屋行く~」

 ケーキ3個を購入…3分の1は食べた。


「コンビニ行く~」

 豚汁・しゅうまい・春雨サラダ・グレープフルーツ・アイス2個・胃薬!


「何から食べる?」

 言いながら、自分はグレープフルーツを食べ始めている。

(バナナ食って、ケーキ1個食べれば大概、小腹は満たされている)

「コレ食べて…あったかいうちに」

(マフィン?)

 どうやら自分で持ってきたようだ。

「真ん中だけ食べたい!」

 半分ほど食べて、彼女に渡す。

「塩っ気うまい」

 いつものように1口・2口食べて私に返却する。

 この時点で1食分は食べた気がする。

 というか、ケーキというデザートを食べた時点で頭は食事終了になっている。

「豚汁?ラーメン?どっちにする?」

(ラーメン?)

 コンビニのつけ麺がバッグから出てきた。

「作ってあげる~」

(なんかデカイな~)

「あっ!つけ麺嫌いだっけ?」

「いや…嫌いではないけど…存在の意味が解らないだけ」

 そう…『お湯ラーメン』でも書いた気がするが、生暖かい麺を微妙な温度のスープに付けて食う意味が解らない……そう、それだけだ。

 言ってしまえば、ラーメンじゃダメなの?が本音である。

 だいたい、味付けが濃いように思う。


 彼女がモゴモゴ食べ始める。

 食べにくそうである…麺がほぐれてないのだ。

「もう…ソレかけて」

「えっ?かけていいの?」

「うん」

 麺にスープをかけることになった…。

(ホント、ラーメン食いに行った方が良かったんじゃ…)

「なんか魚風だよね~」

「うん…魚介だからね」

「そうなの?どうりで…」

(うん、デカデカ書いてあるよ…魚介系スープって)

「納豆食べよ」

(飽きたな…)

 私は、残ったつけ麺5分の4は食べた。

 バックから納豆1パックを取り出す。

「かける?」

(つけ麺に?)

「いやいいよ」

 納豆を半分こする。


 それにしても、つけ麺…減らない。


「豚汁うまい!」

 豚汁食べ始めている…。

「春雨サラダ…あんまり味しない…美味しくない」

「えっ!俺…酸っぱすぎてダメなくらい、味濃いと思うよ」

「え~…そう?」

「うん…でも美味しくないのは美味しくないね」


 つけ麺を完食した…。

 なんか気持ち悪い。


 豚汁…美味しいけど、重い…胃にくる…重い…重い…重い…重い。


「彼女ちゃんって、食い物の見た目気にしないよね」

「うん…食べれれば大丈夫」


 サラダささみにかぶり付く姿は…食欲が失せる…。


 彼女の食べる姿を見ていると…食欲が失せるのか?

 それとも…食べる順番が食欲を消すのか?


 私は未だに解らないでいるのだ。


「アイス…コーンのトコ食べて」

(コーン嫌いなのに…なぜコーン付きを買うのか…)

「マンゴー好きだね」

「そう?うん…好きかも」

「俺…マンゴーあんまり好きじゃない」

「なんで?美味しいのに…でも、そのまま食えって言われてもな~」

(要するに濃い味が好きなんだな…解りやすい単色の味)

 アイスもマンゴーなら、買ったジュースもマンゴーだもん。


 思えば…何を食べても単品で判断するんだよな。


 サラダもトマトは嫌い。

 魚介は好きじゃないけど、海鮮パスタを食べてみたり。


 きっと、1食1味みたいな食べ方なんだろうな~。


 だから無駄にいっぱい買うんだろうな~。


 思考が複数を理解してないような気がする。

 だからケーキ屋のケーキを全部食べたがる。

 好きなケーキで店を判断するのではなく。

 店で、アレが美味い・コレは不味いで判断するのだ。


 チョコが好きだから、暑い日にはチョコアイスではない。

 チョコはチョコで買う、アイスはアイスで買う。

 だから買い物が多いのだ。


(1食、自分一人で食べれる量を自分で買ってみたら?)

 とりあえず、メールしておいた。

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