バカ話でごめんなさい!

銀鮭

第1話 経理課 猿田得手吉


「おーい、猿田さるだくん! 猿田得手吉さるだえてきちくん!!!」


「おい! 課長がお前のこと呼んでるぜ!」


「ウ? ウッキー! ウキ、ウッキー!」



「ああ、猿田くん。奥さんがいらっしゃってる! 応接室だ」


「ウッキー!」


「ちょっと待ちたまえ! はい、だろう? 返事をするときは『はい!』だ。


わかったな猿田くん――」


「ウゥ……は、はい……」


「よし、では会って来い」



「課長! 猿田くんの奥さんが来ているんですか?」


「ああ、お昼を公園で一緒に食べたいとかでバナナを一房買ってきたらしい」


「猿田くんの奥さんらしいや。しかし課長、なんで猿まで雇うんでしょ


うねぇ……」


「それは猿の方が、今の人間の若者よりはよっぽど使えるからさ。仕方がないよ」


「そういえば人間って、ずいぶん堕落しましたものね……人間よりは猿の方がま


しってことです か――」


「そうだなぁ……まあ、そう言う君だって猫じゃないか、そうだろう猫田くん?」


「にゃ~ん! それを言われると弱いにゃん。だって求人広告に『猫の手借りた


し』て書いてあったにゃん。でも課長だって、本当のところはネズミじゃないです


か……ね、鼠鼠田そそだ課長! 偉そうにしていると食っちゃうぞ! こら


こら!」


「わっ、止めろ! やめて……ちゅう、ちゅう!」



                                  (了)

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