永久欠番のゴースト

よだか

心の傷は目に見えない。

どんな傷も時が過ぎれば癒される。


 よく聞く言葉だ。


 ――本当に?


 傷は開くものだ。些細なきっかけで。

 縁もゆかりもない人間達の他愛のない雑談のような、何処にでも転がっている日常風景が誰かの傷に触れることがある。

 そして、甦った記憶や傷の痛みが心の闇を暴走させる引き金になる。



 彼女らに悪意なんてなかっただろう。

 ただの好奇心で楽しく話していただけだろう。

 だけど……傷は開き、引き金は引かれてしまった。


 彼女は静かに瞳を開いた。


 『私はゴースト。

 君達に殺された存在しない存在。』

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