第2話 異変
「池内、なんでゲームセンターに居たんだ?」
「通っただけですっ。」
正々堂々呼び出しに応じて通されたのは、よくテレビで万引きをした人が連れてこられる、長机と椅子が置いてある簡素な事務室のような部屋だった。
私の他にも呼び出された生徒が居心地悪そうに、何人か座っていた。
ご丁寧にもう一人別の先生がいて、事情聴取の真っ最中だった。
不満と気だるさが入り混じったような気分で生徒指導の先生の質問に答える。
「私は参考書を買いに、本屋に寄るところでした。あのゲームセンターを通らないと本屋さんに行けないんですっ。」
「そうは言ってもなぁ。家に帰ってから来ればいいだろ?」
「制服じゃなければいいんですか?親は遅くまで帰ってきません。学校帰りでなければ中学生だけでいてもいいんですか?」
取って付けたような言い草に、私は怒りをぶちまけた。悪いことなんてしてない。
「いや、まぁ、そういうわけじゃないが・・・とにかく、今度から気を付けるように。もう帰っていいぞ。」
「・・・・失礼します。」
ここでごねてもしょうがない。帰れと言われたんだから素直に従っておくことにした。
ドアを開け、部屋を出る。
しかしそこには真っ直ぐ伸びた薄暗い廊下があるだけだった。
「こんなとこ通ってきたっけ?」
先ほどの部屋と全く雰囲気が違う。
廊下の両側に並んだいくつもの扉という扉はとてもよく似た、というよりむしろ全く同じつくりのようだった。
「どこだ、ここ?」
いつの間にいたのか、私と同じ学校の制服を着た男子が立っていた。
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