No.66

第1話 夢の始まり

これは、私が実際に夢でみたお話。

本屋に寄ろうと思った私は、学校帰りにショッピングセンターへ向かっている。

しかし本屋へ行くためには併設されたゲームセンターをどうしても通らなければならない。中学生である私が、学校帰りにそんなところへ足を踏み入れることは決してあってはいけないのだけれど。

夢の中ではよくあることだが、起きている時の自分が全く知らない場所で全く知らない人と出会っても、私たちはその場所や相手のことをよくよく承知していて、さも当たり前のように振る舞う。

ジャラジャラ、ピコピコ、ガヤガヤ・・・様々な音が充満する空間を私は早足で通過する。

「こんなところに来たいんじゃない。私の目的は本屋さんなんだから。」

そんなことを考えながら、やましい事など何もないと言わんばかりに歩いていると見知っているらしい顔がこちらを見ていた。

「生徒指導の先生か・・・。面倒なことになりそう。」

直観でそう感じたが、私は構わず本屋へ向かった。

目当ての参考書がないか物色していると、店内放送が流れた。

ピン、ポン、パン、ポーン。

「〇〇からお越しの、イケウチ、サヨコ様。お連れ様がお待ちです。一階、サービスカウンターまでお越しくださいませ。」