〔ヨム人=アナタ〕が選んだ★★★★作品を読みたい!

真野絡繰

【企画趣旨】誰にだって、★★★★をつけたい作品があるはずだ!

 真野はモヤモヤしていた。

 怒っていた、というほうが近いかもしれない。

 カクヨムというサイトに対して、だ。


 真野にとって、Web小説はまったく未知の世界であった。

 ある日、ある新聞でWeb小説の最近の動向が紹介された記事を読み、「へえ、そんなに人気があるのか」と知ったのが最初である。記事には代表的なサイトが紹介され、「KADOKAWAが新規参入した」ということにも触れられていた。


 真野は短絡的な性格なので、それらのサイトを一度も見ることも開くこともないうちに、いきなり「小説を書いてみよう」と心に決めていた。そして何日か後、書き上がった文章をカクヨムに掲載した。わずかではあるけれど、★やレビューという「反応」をいただくことができ、うれしい気持ちになれた。


 そういった動機でカクヨムを楽しませてもらっているだけで、真野には「作家になりたい」などという大それた気持ちはまったくない。なれるはずもない。作家になれるほどの文才など、もっていないからだ。


 しかし現在のところ、カクヨムに対しては疑問がいくつもある。とはいえ、その大半は「まだ始まったばかりのサイトだから」という理由によって、心のなかで握りつぶすこともできなくはない。しかも真野は「Web小説界」というものへの理解に乏しく、自分の感覚が正しいとも思えない部分があった。


 ――でも、もうちょっと、いい場所にできるはずだよね。今のままじゃ、残念な面がいくつもある。


 真野のなかで、確実なことがひとつあった。それは、カクヨムに掲載されている大量の小説たちが、予想していたよりもはるかにハイレベルだったことである。正直なところ、主語と述語の関係すら構築できていないような、日本語としておかしい文章が並んでいるのだろうと想像していたのだ(すいません)。


 もちろん、そういった類の作品はあった。いくつも見かけた。申し訳ないけど、読み進めることができなかった。だけど、その逆にものすごくいい作品も数多く見つかった。単純に、「すごいな」と思った。


 ところが、次なる問題が見つかった。それは些細な問題と片づけることが不可能な、カクヨムというサイトの構造的欠陥によるものである。――運営には申し訳ないがハッキリ書かせていただくと、いくつもの素晴らしい作品があるのに、読者はそれにたどり着けないのである。なおかつ、探しにくい。


 トップページも少しずつ変更され、すでに改善は進んでいるし、今後も進んでいくと思う。が、10ジャンル5作品ずつだけが表示される「週間ランキング」はダイナミックな入れ替わりに乏しく、さほど代わり映えしない。


 ならば、と導入された「新着レビュー」は有効であったように思う。真野も、いい作品たちをここに表示させるべく、せっせとスコップして(といっても1日に1~2作品だけれど)レビューを書いた。が、それもすぐに流れてしまって維持できないのが、現在のカクヨムのサイトデザインである。


 それとは別に、「読む人が少ない!」という根本的な大問題もある。とはいえ、これは運営サイドに骨を折っていただくしかないので、ここで詳しくは触れない。けれども、ここがカクヨム最大の弱点であることは、あえて指摘する必要もない事実である。


 そこで真野は考えた。


 ――カクヨムに掲載された作品を読んで、「これには★★★★をつけたい!」と思ったような作品が、誰にでもあるのではないか。そういう、「宝物」ともいうべき「個人的ベスト作」を一覧にして、いつでも見られるような場所をつくっておくのは、有意義なことなのではないか、と。


 そして真野は、その思いを具現化するべく「エッセイ」を書き始めた。そう、あなたが今、読んでくれているこの文章である。


 真野は、次のようなことを考えた。

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