エピローグ
エピローグ
あの日から僕は心を入れ替え自分なりにまじめに小説と向き合った。
何が良くて悪いのかはあんまりわからないが一つだけわかることがある。それは、どんなものにも全力で取り組むからこそ意味がある。
仲直りをしたい。この気持ちと僕の書いた作品を一人でも多くの人に読んでもらいたいの、一心で『放課後の宮殿。』と『放課後の宮殿。LⅤ.2』を書き進めた。
『異世界からの救いの手』は全力で書いた物語ではないので書かないことにした。
しかし、一人では何もできず活きず待ってしまった。
二作品目のリア充の物語ではリア充経験のない僕と遊園地で仮デートをしてくれて、素材を集めることができた。
この作品は宮殿が出てくるのでベルサイユ宮殿などに行って素材集めをした方が良いのかもしれないが一人では行くにも気持ちが乗らない。
どんなに苦しい時でも楽しい時でも一緒にいてくれた美梨さんがいたからここまで小説家人生を歩んでこられたのだと思う。
それなのに僕は美梨さんのことを裏切り全力で取り組まなかった。
美梨さんが出て行ってしまったときは何をどうすればいいのかわからなくて何をするにも集中できなかった。
そんな時、
「何様のつもりですか? みんないろんな悩みを抱えて、それでも頑張って生きていくしかないのです。いい加減にするのですよ!」
このセリフを思い出した時に僕の中でビ! ビ! ビ! と何かを感じ、僕が出来るのは売れる小説を・・・・違う。誰もが面白いと思い、また次も読みたいと思ってくれる作品を作ろうと心を入れ替えて取り組んだ。
今、美梨さんはこうしてできた作品を読んでくれている。
「読み終わりました。心を入れ替えたのか知りませんが、前回読んだのと比べるなら前回の方が面白かったです」
原稿をベッドの上に置き、一口コーヒーを飲む。熱かったのか舌を出す美梨さんかわいいです。最高です。
「全体的に硬くなってる気がします。これはラノベでもっと気軽にふわふわした面白さがラノベだと思っています。しかし、この二作品はラノベではない小説のように硬いです。こんな硬いのを書くのであればすべて没です」
「美梨さん。すみませんでした。やっぱり僕には美梨さんの力が必要です。美梨さんとこれからも多くのヒット作を生み出していきたいです。よければ素材集めのためにでも仮デートとかもしたいですし、これからは全力で小説家として恥ずかしくない作品を作るので、これからも僕ずっと一緒にいてください」
美梨さんは顔を赤く染め、コーヒーをブクブクとしながら何かを言っているがよく聞き取れない。
何かを言う決心ができたのか口をコップから外し、両手で白くて柔らかそうな頬を、ぱちんとたたく。
「わかりました。これからもよろしくお願いします。でも、今までとは違う形で一緒にいたいです」
それがどういうことか分からないまま一緒にいてくれることほっとした優は「はい。よろしくお願いします」といい、二人は小説家と編集者の壁を越えカップルへとなったのだ。
二人は、二つの作品を作り出版した。
発売されてから一週間経ったが、今までの読者も逃げて行ってしまったのか売れ行きは悪い。
どんなに晴れている日でも二人の心には大きな雨雲がいる。
一ヶ月経っても売れ行きが伸びないのであれば美梨は退社しようと優に相談したが、優は反対した。
この作品はシリーズ化したいと思っている。欲を言えばアニメ化をしてヒロインでもあり、LⅤ.2では主人公の
そんな作品を置いて退社されるのは作家として裏切られたようにも思えるし、何よりもこの作品は美梨と付き合うことのできた思い出の作品でもあるので猛反対した。
優の熱意に負けた美梨は
「そこまで言うなら、水瀬ゆんさんが神のヒロインを演じた作品のように知名度があり、長く、そしてもっと読みたいと思われる作品を一緒に作りましょう」
と、二人は目標に向かって今日も作品を作り続ける。
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