2087年 咆哮

第23話 2087年9月26日 全米連邦 チリ州 プラザコースト 

あけて早朝 次々と“バチン”“バチン”プラザコーストに電磁炸裂音が寸断無く鳴り響く


窓に食らいついては廊下に飛び出るスイートルームフロア一同

島上、大声一番に

「おい外、戦車打っ放してるぞ、先手打たれた、」

堂上、シャツ一枚に虎徹携え飛び出す

「見れば分かります、今直ぐ打っ手切ってやる」

米上、未だ寝ぼけ顔で

「もう、朝のキスもしていなのにー」

島上、尚も臨戦態勢

「若妻ぶるな、おばさんが」

米上、島上に一気に詰め寄る

「おじさんが、それ言わないの」

ついに、米上と島上と互いの襟を締め上げる

飛び出して来た、花彩

「わー米上さん、パンツのままですよ、何してるんですか」

米上、島上の襟を解き

「いいのよ、全部見せパンだから」

島上、声を張っては

「いいから逃げろ、この階集中砲火だ」

北浜、怒号一番

「おお、第三帝国、ふざけるな、」

阿南、歯噛みしては

「こことぞばかりに奮発するかよ、後手に回ったな」

美久里、弱々しくも

「あのーシャワー浴びたいんですけど」

渕上、カットソーのまま

「戦車4台も来てるのに、そんな余裕有りません、濡れタオルで拭くとよろしい、さあ」急いで自らの部屋に戻る

美久里、切羽詰まり

「いやですよー寝汗が、浴びたい浴びたい、」

花彩、美久里の肩に手を添えては

「うわー女子ですよ、美久里さん、拭くの手伝いますから」

美久里、尚も

「浴びたい浴びたい、」

渕上、部屋から急いで飛び出し

「ほれ、まずは寝癖直しなはれ」濡れタオルで、美久里の頭を激しく拭う

美久里、目を丸くし

「ほっつ、でも、ちょっとはすっきり」

花彩、促すかの様に

「さあさあ、美久里さん、あとはお部屋で拭きましょうね」

島上、不意に

「何が最優先なんだ」

渕上、綻ぶ

「年頃はこんなものですよ」


“バチン”、尚も響き渡る戦車からの電磁主砲


非常階段から、ヘルメットにアーミーベストに対戦車ロケット弾発射機RPGー7片手に、スイートルームフロアに傾れ込んで来るホテルマン達、急いで部屋に飛び込んでは荷物を廊下に運び出す


保科、偉丈夫にもフル装備で

「いやいや皆様、お騒がせしています、朝食は用意出来ていますのでお早くバンケットへどうぞ、それまでに代わりのお部屋は用意します」

北浜、ただ目を丸くし

「総支配人、戦車で狙い撃ちなのに、なんで冷静なんだよ、いやその装備って」

保科、こことぞばかり張り切り

「ご心配無く、北浜様、万事つつがありません 当ホテルは如何なるVIPも対応していますので、たかが戦車の電磁主砲などはアンチシールドを展開していますので、何一つご心配有りません」

堂上、不意に

「そんな凄いVIP泊まるの、」

阿南、軽い目眩

「ああ、猿滑さんの系列だったなー」

保科、毅然と

「左様、ただやられっ放しでは当ホテルのレーティングが下がりますので、応戦させて頂きます」

北浜、目を見張り

「そのRPGー7、まさか」

保科、万感の思いで

「ご心配無く、私も少年のみぎり、村に迫った戦車はこれでよく応戦したものです、この星のマーク見えませんか」ベストの撃墜マークを指差す

島上、歩み寄っては

「33台か、やるな保科さん」思わず、保科とグータッチ

米上、押し止める様に

「駄目よ、噴出煙で汚れるから一階で応戦しましょう、この隙に行けるわ」

島上、即答

「いや1階は1階で電磁機関砲の狙い撃ちだ、ここは上からが定石だろ」

保科、矍鑠と

「さすが島上様は慣れていらっしゃる、それではお部屋をお借りします」RPG−7掲げては部屋のベストポジションへ

美久里、いつの間にか凛と廊下に

「RPGー7とは、流石に用意がいいですね」

花彩、目をパチクリと

「はい、美久里さんの準備出来ましたよ」

島上、転ける素振りも

「えっつ、しゃんとするのかよ」

美久里、iParentを只管フリックして

「身だしなみは慎みです、さて見てなさい送信と、はいと」

花彩、覗きこもうとするも

「えっつ、スマホで送信って誰にです」

美久里、透かさずiParentをジャケットの懐に仕舞う

「お友達の全米最高議会です、今頃大騒ぎね」

花彩、頻りに頷く

「確かに、旅行客に大砲はまずいですものね 全米最高議会にどんどん抗議して下さいね」

渕上、素早く和服に着替えて廊下に出ては、訝し気に伺うも、

「何か引っ掛かりますな、美久里さん」素早く髪を束ね臨戦態勢へ


27階の窓から、保科始めホテルマン12人が一斉にRPGー7発射

ドアを開けたままの部屋から、廊下へと次々マズルフラッシュが飛び出す

間も無く爆音爆発、戦車4台沈黙

保科、部屋から飛び出し、煤を被りながらも何度もガッツポーズ

「ほほー全弾命中しましたぞ、全機撃退です」

北浜、唸っては

「かっけー」

阿南、只苦笑

「総支配人、年季入り過ぎだ」

花彩、不意に

「RPGー7連射で漸く擱座ですか、FRPでは無いのですね」

島上、溜息混じりに

「ああ限りなく本物志向なんてな、鉄と電力の無駄遣いだな」

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