第10話

おはよう。

バリ島の話をしてくれる。

わたしたち海の見えるホテルに住んでたの。

チーのayan(お父さん)のホテルだって。

え〜、チーの家、お金持ちなの?

知らない。

ayan(お父さん)はインドネシアの人なの?

ううん、日本の人だよ。

バリで事業をしてるらしいの。

それでバリに行ったのね。

チーはayan(お父さん)のこと嫌いみたいだよ。

でも、日本にいられなくてバリのayan(お父さん)を訪ねたの。

毎日、海を見てこれから何をするか考えてる時にネコを思い出したんだって。

ホテルの中にあるお店でぬいぐるみを見つけてネコを作ろうって思ったらしいの。

お店のお姉さんに作り方を教わって作り始めたんだ。

毎日お店に通って白い布で作ったのがわたしよ。

そして一つじゃかわいそうだって黒い布でボクを作ったんだよ。

日本で大好きな人と一緒になれなかったからボクたちを日本に送ることにしたんだ。

お店のお姉さんが日本のお店に商品を並べるというのでわたしたちも一緒に送ってもらうことになったの。

大好きな人がボクたちを見て何かを感じてくれたらチーのことを思い出すんじゃないかって。

でも、日本は広いのよ。

大好きな人がいる所にあなたたちが並ぶかどうかわからないのに。

日本のデパートでよく色んな所の物産展をやってるから日本中のデパートをまわるらしいの。

でも、大好きな人が見つける前に私があなたたちを見つけたのよ。

チーの希望を私が消してしまったみたいね。

その大好きな人を私が探してあなたたちを届けなくちゃ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る