悲しみを拾い集める ー異変ー

 その子自体が『悲しみの主』と知ったのは、十一月十日、十四歳の誕生日の真夜中の事。寒くて目が覚めたら窓が何故か全開に開いていて、冷たい風が部屋に吹き込んでいた。

 それは寒いよねって思いながら窓を閉めようとした時、猫が尻尾を立てて窓枠に座っている事に気付いた。

 何やらその子の方を向いてジッと見つめている。

 すると急に、猫が『人の言葉』を使い話し始めた。

「なあ、なあってばー、お、ようやく言葉が通じるようになったかにゃ。あんた、主なんやから悲しみ食わんと死ぬでー」


 これがその子と猫の獣のチャルが出会った初めての会話だった。

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