昨日の夜想曲

九紫かえで

昨日の夜想曲

第一部 昨日の夜想曲

前書き

 政治学という学問を研究する中で、私――ロナルド・ジョージは多くの為政者達の活動について研究してきた。その中には名君と称えられる者もいれば、暴君として後世に名を残すものもいた。

 今回私が取り上げようと思っている人物は、おそらくはまだ評価を下すには早すぎる人物であることには間違いない。研究の対象とするにはいささか早すぎるとの批判は的を射ているであろう。しかし今から私が記そうとしている文章は、何も今までのとおり学術研究のためだけに資そうとしているものではない。私が生で接した、現在を生きる為政者の一人の半生を克明に残しておきたい、というのが第一の目的だ。学術的価値があるかは後世にわかることだ。今の段階では記録することに意味がある。私は彼女の人生を記録に値するものと判断したまでだ。


 神陽美奈。政治権力を持った最後の皇帝の半生記である――。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る