花言葉あいうえお

深水千世

あ行

【あ】アンスリウム

 『アンスリウム』という花の名前にピンとこなくても、その姿を見れば「あぁ、どこかで見たことがある」と思われる方が多いのではないでしょうか。

 真紅のハート型をしていて、小さな尻尾のような黄色い房がついている植物です。よく花束やアレンジメントで見かけます。派手な色合いですし、なんだかラテンの香りがする風貌だと思います。北国より南国が似合う花ですね。


 アンスリウムはサトイモ科アンスリウム属の植物です。熱帯アメリカ原産で600種以上あるんだとか。言われてみればどこかサトイモっぽい気もするフォルムです。


 別名は紅団扇ベニウチワといい、学名にあたるアンスリウム(Anthurium)はギリシャ語で『尾』の意味「oura」と『花』の意味「anthosaura」という言葉が語源になっています。花穂部分がしっぽのように見えることに由来し、テールフラワー(Tail flower)と呼ばれることもあります。


 花のように見える色づいた部分は、花を保護する苞「仏炎苞」で、その中心部の棒状の部分が、小さな花が集まった花序「肉穂花序」です。

 品種としては、大輪種には『インディアナ』『シーズン』『アラスカ』『アフリカンクイーン』『ミドリ』、中輪種には『リモーナ』『ピンクチャンピオン』『インプレッサ』『フィエスタ』『オレンジラブ』、小輪種に『ポラリス』『カリボ』『バレノ』『ピコベロ』といったものがあるそうです。

 品種改良が始まったのは1950年のハワイ。原産地ではありませんが、ハワイの花というイメージがあるようですね。


 私は英名が『Flamingo flower』というのが気に入っています。確かにすうっと伸びた茎がフラミンゴの脚に見えますし、真紅の体と黄色いくちばしがありますからね。

 フラミンゴは全体的な姿から連想されたものですが、日本での呼び名『紅団扇』は、そのハート型の部分に特化した見方ですよね。こういう文化による視点の違いというのが実に興味深いです。


 花言葉は、同じ植物でも色によって違うことがあります。

 このアンスリウムも赤だと『情熱』『印象深さ』『心は燃えている』といった、真紅のハートにぴったりな言葉ばかり。

 ところが、白では『熱心』『無垢な心』、そしてピンクだと『飾らない美しさ』になるんだとか。

 熱心が赤でなく白だというところが意外かなと思ったのですが、白熱という言葉があると思うと、違和感がなくなります。


 アンスリウムは1/14、1/22、2/13、3/17、8/7、8/8、8/10、8/25、11/13、12/1、12/16の誕生花だそうです。



 アンスリウムの花言葉一覧:『情熱』『煩悩』『飾らない美しさ』『恋にもだえる心』『温かいもてなし』『印象深い』『無垢な心』『可愛い』『心は燃えている』『炎のような輝き』『献身的な愛』『戯れの恋』


 赤いアンスリウムの花言葉一覧:『情熱』『印象深さ』『心は燃えている』


 白いアンスリウムの花言葉一覧:『熱心』『無垢な心』

 ピンクのアンスリウムの花言葉一覧:『飾らない美しさ』





 このエッセイでは、このような形で小話など交えながら花々のまだ見ぬ顔、そして未知なる世界を花言葉に乗せて綴っていきたいと思います。


 お話の最後には誕生花と花言葉一覧をまとめて記しております。自分と花を結びつけるきっかけの一つになったり、大切な人に花を贈る際の参考になればいいなと考えています。


 初めて知る花も、よく見る花も、物言わず押し隠した言葉を持っています。それを知ることで、花との時間が少しでも楽しくなりますように。


 どうぞ、よろしくお付き合いくださいませ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る