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小鳥遊うた

-1

序章、 その男音痴につき、


 「かーごめーかーごめーかーごのなかぁのとーりーはー、いーついーつでーあーあーうゥっ!」



 首都、ロンドンから少し離れたところ、アリスメンデス通り二十四番地と名付けられたその場所は大きな十字路のすぐ脇、そこにひっそりと存在する小さな小道を抜けたそのまた先にある。確かに、あるのだ。



 人一人通るのがやっとな小さな小道の脇には鬱々強いほどに赤く色づいた薔薇が、その先へ進もうと目論むものへの警告を成す。


 それに怯まずに進んだものだけが目に出来る、小道を抜けた先にあるまるで映画に出てくるゴーストハウスのような出で立ちの城と、不気味に聳え立つ黒塗りの高すぎる門構え。


 呼び鈴なんて粋なものはなく、しかし来客者が足を止めるとたちまち自動的に開くほどには粋な計らいを忘れない店主が凡そ一人で切り盛りする“店”。


 そこからは毎朝古臭いどこかの国の民謡が、軽快なリズムで刻まれる。


「よーあーけのばーんにぃーっ!」


 つまりは、酷く音痴なのだ。

 この屋敷の主である十二月ヒズミ輪廻リンネという男は。





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 ―――……答えはきっとそこ、に。




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