第6話 面接
救護所についたあなたは、中にいた女性にバイトの話を持ち掛けた。
「すみません、プリーストなんですが。ここで働かせてもらいたいんですけど」
「……はい?」
「えっと、プリーストです。バイトがあるって聞いてきました」
「き……」
「き?」
「キタ――――――!」
女性はそう叫ぶと、カウンター裏にあるボタンを連打する。するとあなたの背後でシャッターが閉まり、店の奥から覆面をした半裸の屈強な男たちが次々と現れた。
「な?なんぞこれ!」
「ふふふふ、逃がさない、逃がさないわよ!坊や!お前たち、やっておしまい!」
女性の声に合わせて、あなたに組み付いてくる男たち。
「えっさーほいさ、えっさーほいさ」
「うっひょーいい男」
「や・ら・な・い・か?」
「ちょ、ま――――――!」
あなたはなすすべもなく、男たちによって簀巻きにされてしまうのだった。密集する筋肉の匂いが若干トラウマになるあなただった。芋虫にされ、男たちに組み伏せられたあなたに女性が近づいてくる。
「ようこそ、東京ダンジョン救護所へ。今日からあなたの上司になるミカよ」
「あの、もう帰りたいんですが」
「ダ・メ」
「おうっふぅ」
女性は不敵に笑うと、簀巻きのあなたをげしげしと踏みつけてくる。その足は初級回復術で発光し、いい具合にあなたの意識を刈り取ろうとする。
「や、やめ。働く!働きますから!」
「よろしい、これが契約書よ」
「……なにやら、永久就職とか書かれているのですが」
「……チッ」
踏む力が強くなった。
「あひんっ、困ります。俺、探索者なんですからぁ!」
「探索者なんて安定しない職業辞めて、ギルド職員になりなさい。さあ!いま!」
あなたを踏みつける足に付与された、初級回復術がより一層輝き、副交感神経を刺激してくる。あなたは襲い掛かってくる徹夜3日目レベルの眠気に、唇をかみしめることで何とか耐える。
「い、やです!」
「どうしても?」
「どうじでも!」
「……もう!しょうがないわね。お前たち、放してやりな」
「イエッサー!」
「マムとよびな!」
「イエスマム!」
あなたは男たちから解放されたが、明らかに瀕死の芋虫のようになってしまっていた。ぴくぴくと痙攣するあなたに、女性が告げる。
「では、日雇いのアルバイトということでいいわね?」
「は……い」
「よし、契約成立!あなたお家は?」
「ないです……」
「そう、じゃあここに泊まっていいわよ。そうね、今日はもう寝ていいわ」
「はい……スヤァー」
あなたは最後に何とかそれだけ口にすると、眠りの世界に旅立つのだった。
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