異世界転生(日本)ーらいとふぁんたじー・らいとー

eXs

第1話 アップデート

 あなたがそれを手にしたのは偶然だった、たまたま目にしたファンタジー物のゲームであり、ちょうど給料日で懐が温かかったこと。元来、ファンタジー好きのあなたは、その【ライトファンタジー】とタイトルの書かれた古ぼけたゲームが奇妙に気になっただけのこと。

 自宅に帰ったあなたがまずしたのは長年愛用してガタついたPCに火を入れることだった。立ち上がるまでの数分、片手間にコーヒーを入れながら、古本屋で購入したゲームのパッケージを何とはなしに眺めるあなた。

 内容はごくありふれたレトロなものだった、異界の冒険者たるあなたは、仲間を集めながら迷宮を攻略し、最深部にいる魔王を倒して世界を救い、願いを叶えて異界へと帰るというもの。まあよくある設定である、それに比例するようにゲームシステム自体もありふれた剣と魔法ものだった。

 何とはなしにあなたが説明書を呼んでる間に、PCも温まってきたようで、すっかりゲームを開始する準備ができていた。コーヒーの少し焦げたような匂いをかぎながら、あなたはゲームを開始する。


「汝、異界の冒険者、迷宮にて魔王を倒し、己が願いを叶えるがいい」


 そんな文句で始まるプロローグ、あなたは今後の冒険に思いをはせながら、自身の分身となるキャラクターに息を吹き込んでいく。


経験 0

名前 ■■■■

性別 (♂・♀)

年齢 ■■

職業 (ファイター・アーチャー・ヴィザード・プリースト……etc)

技巧 

魔法


耐久 E

腕力 E

俊敏 E

知恵 E

器用 E

魔力 E


 さて、とコーヒーで一息入れたあなたは早速ゲームを始めることにし、スタートボタンを押した……。


 あなたは事前に確認をするべきだった、【ライトファンタジー】をブラウザーなりなんなりで調べるべきだった……。


 ゴウッっという音と共にウィンドウに広がる黒点、満天の星空を巡るようにぐるぐると渦巻く光の中で、あなたは意識を失った。


「welcome to the new world …… now loading……」


 次にあなたが目を覚ました時、世界(日本)は一変している。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る