マネーマン

野口マッハ剛(ごう)

悪銭身につかず

「お金は天下からではない。つまり、銀行にあるんだ」

「そうね、当たり前でしょ? マネーボーイ?」

 二人はトラックに乗って走っている。マネーマンとマネーガールだ。マネーマンは金色の全身タイツを頭からつま先にまで装着している。

「なぁ、ガール? この格好は少し暑い。どうにかならんのか?」

「仕方ないでしょ? 指令で決まってるんだから」

「ヤバい、股間がむれるぜ」

 マネーガールは聞かないふりをした。

「そろそろ銀行に突っ込むわよ?」

 正面から銀行に向かって走るトラック。

「待ってろよ~。百万$!」

 アクセルを踏む。

 銀行の玄関がぶっ壊れる。

 そして、トラックの正面窓をぶち破って二人は華麗に着地した。

「イッツ、ショータイム!」

 警備員がマネーマンに向かって突進する。

 マネーマンは武術の達人でもあった。

 一人、また一人と倒れていく警備員。

「もう終わり?」とマネーマンが言った時だ。

 ガガガガガガガガガガガガガッ!!!

 マシンガンを撃つ残りの警備員たち。

 マネーマンとガールは物陰に飛び込んだ。

「蜂の巣にされるところだったぜ!」

 二人も特製のマネー銃で反撃する。

「一発あたり、五$だぜ!」

 次々と撃たれていく警備員たち。

 そして、

「金庫はどこ? お金ちょうだい?」

 マネーマンとガールは残った警備員を追い詰めていた。

「わ、わかった、ついてこい!」

 そうして二人は銀行の奥へ連れられた。

「ここにあるんだな? ガール、見張ってろ」

 マネーマンがドアを開けた。

 中には黒いカーテンのようなものがある。そのカーテンのようなものは床からもっこりとしていた。推定、百万$と言ったところか。

 マネーマンが部屋に入った。

 するとドアが閉まった。

 振り返ると黒マントの男が立っていた。

「お前がマネーマンだな?」

「そうだけど、イチ文無しだよ?」

 黒マントは右フックを大振りで放つ。

 マネーマンがかわした。

 そのフックは壁に大きな穴を空けた。

「ヒュー! やるなぁ? でも、こっちには銃があるぜ?」と調子をこくマネーマン。

 しかし、あっさりと黒マントに銃を奪われてしまった。

「良い銃だな? 一発何$?」と黒マントは天井に全発撃ち込んでしまった。

「あぁ! 俺のタマを! こいつは許せねぇ!」

 タックルするも膝蹴りをもらってしまったマネーマン。

 今回は警察に捕まってしまったマネーマン。



 多分、続かない。


 終わり。

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マネーマン 野口マッハ剛(ごう) @nogutigo

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