ヘタレ高校生の最強物語〜超ステルス男の異世界紀行

念魚

プロローグ

 白い光が弱くなっていき、辺りの様子が見え始める。


 どうやらここは、何かの建物の中のようだ。

 木造の小屋かロッジのような所か。

 暗くてよくわからないな。


 森の中で休んでいたはずなのに、いきなり白い光に包まれてこんな所に来てしまった。

 俺は気絶でもしてたのだろうか?

 ここは、森の中の山小屋なのか。


 だんだん目が慣れてくる。


 おっと、目の前に女の人がいるな。

 こちらを覗き込んでくる。

 結構年上だな。

 赤い髪に外人みたいな顔立ちだ。

 随分と痩せた人だな。

 病気なのかもしれないな。


 もう一人、小さい子供みたいな人がいる。

 こんな森の奥深くに子連れで来てるのか?


 いや、もうここは森じゃあ無いのかも知れないな。

 ちょっと聞いてみよう。


 って、猫がいるじゃないか。

 でかいな。

 こんな猫いるのか?

 人と変わらないサイズだぞ。


「あの、大丈夫ですか」


 子供が話しかけてきた。

 子供って言っても、大人みたいな顔つきで凄い美形だけど男の子だな。

 髪が緑色で綺麗だ。

 で、やっぱり外人顔だ。


「あ、あの、ここは何処ですか?」


 って聞いてみると、


 うあっ


 猫も喋った。

 喋れる猫なんているのか?

 なんか獣人とか言ってるな。

 いったいどうなってるんだ。

 白と茶の毛並みが綺麗で可愛いな。

 立って歩いてるし、服着てるし、オッパイが大きいな。

 メスなんだろうな。


 しかし、夢ではなさそうだ。

 意識はハッキリしてる。


 いくつか仮説は立てられるけど、どれもぶっ飛んでるなぁ


 やっぱり、パラレルワールドに迷い込んだか、異世界に召喚されたのか、宇宙人に連れ去られたか、もうほとんどアニメの世界だね。

 それならそれで楽しそうだけどね。

 もう、日本の生活が嫌になってたからね。


 さっきの痩せた女の人が、自分は魔法使いだって言ってるな。

 こりゃいよいよ、ここは地球じゃないな。


「外の連中を何とかして欲しい」


 って、そうか、それで呼ばれたんだな。

 でも、俺が役に立つとは思えないな。

 力もないし、ケンカも苦手だし。


 うわっ


 外にいるの人間じゃないよ。

 熊とか犬とかトカゲとか。

 獣人、って言ってたっけ。

 立って歩いてるよ。

 あの、バカでかいクマとか、戦うとか絶対無理だろ。


 おれは逃げるぞ。

 ちょっと隠れて様子を見よう。


 おっ、外の連中引き上げるみたいだな。

 良かった、良かった。

 この人達も大変だな。

 何処の世界にも理不尽な暴力ってあるんだな。


 出来れば協力してあげたいけど……


 あ、魔法使いが倒れてるな。

 彼女、明らかに栄養失調だろ。

 ロクに食べてないのかもな。

 この小屋もボロいもんな。


 そうだ、チョコバーがあったな。


「もし良かったら、食べて下さい」


 チョコバーを差し出すと食べてるな。

 それに凄いビックリしてるな。

 この世界にはチョコとかは無いのかも知れないな。


 猫と少年にもあげよう。


 やっぱり驚いてるな。

 少年は泣いてるよ。

 まあ、子供はチョコ好きだからな。

 チョコ食べる猫は初めて見たけどな。


 リュックに色々入れといて良かった。

 樹海でしばらく暮らすつもりだったからな。

 ここでも当分は大丈夫だ。


 チョコのお陰かは分からないけど、俺を受け入れてくれるみたいだ。


 魔法使いはラナリア。

 猫はシルコ。

 少年はエスエス。


 変わった連中だけど、悪い奴らじゃ無さそうだ。


 それに、俺の能力を見つけてくれた。

 隠密能力とかいって、自分の気配を消せる能力だそうだ。

 俺自身もビックリだ。


 ステルス戦闘機にでもなったみたい。

 戦闘力は無いけど。

 でも、これって、実は日本にいた時と同じなんだよなぁ。


 それがこっちの世界に来て、メチャクチャ強化されてたんだな。

 なんか希望が出てきた。

 ワクワクしてきたぞ。


 つい、調子に乗ってシルコのオッパイ触ったらスゲー怒られたな。

 やっぱりこっちの世界でも、これは駄目なんだな……

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