異世界人と共鳴少女(レゾナンス)

御剣賢人

プロローグ

 真っ暗な地下水道を少女が走る。

 「はぁはぁ……」

 渾身の力で走り続けた先に待っていたのは残念なことに石の壁であった。

 ダッダッダッダッ……

 後方からは複数の足音が近づいてきていた。少女が見つかるのも時間の問題だろう。

 少女は窮地に立たされてなお諦めなかった。その独特な耳に全神経を集中させる。

 ダッダッダッダッダッダッダッ……

 次に少女は音を紡ぎだす。

 間に合え、と少女は願った。

 「いたぞ!共鳴少女レゾナンスだっ!」

 少女は見つかってしまった。しかし彼女は発声をやめない。

 「まずい!」

 兵士たちは急いで銃を取り出し、一番少女の近くに居た兵士が発砲した。

 放たれた弾丸は少女の右足を貫く。痛みのあまり少女は発声を止めた。

 少女が崩れ落ちるか落ちないかという間に兵士たちは彼女に駆け寄り猿轡と耳栓を取り付けた。

 そして少女は連行されていくのであった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る