青い恋はもうできない(BL)
(青龍×丙)
──年も明け、見慣れた景色も心なしか美しく映る1月2日。
その日、西原邸には見慣れない光景が。
「…珍しいこともあるもんだね」
「そんなに悩むことか?」
「あぁーー…くそ、わからん…」
「丙くんのことだしなんでも喜ぶんじゃないのー?」
「つかもう当日だぞ」
こたつで蜜柑をパクパクと食べる玄武と朱雀は、頭を抱えて悩み続けている男を見つめていた。
普段冷静沈着な彼にしては珍しく、身体をわなわなと震わせながら無い知恵を絞り出す様は見ていて痛々しいどころか笑いを誘う。
「なんでも良いじゃない。青龍くんがくれた物ならなんでも嬉しいよ。ねえ?」
「おう、適当に根付とかで良いんじゃね?お前も丙に根付もらったんだろ?」
「そんな二番煎じなことできるか…!」
「「…これだよ…」」
そのとき、ふと玄武が問いかけた。
「ねえ、丙くんていくつになるの?」
「…十八だよ…あー…」
「ならいいや、こんなのどう?……」
………
…
「…丙、ここに居たのか」
「はい、夕日が綺麗なので。先輩もいかがですか?」
「ん…おう…」
縁側にちょこっと腰掛ける丙の隣に腰を下ろす。
何を話すわけでもなくただ茜色の空を眺める。
幾度となく季節を綴ってきた庭も美しく煌めいた。
ふと、丙がこちらを見つめていることに気づく。
「どうした?」
「いえ。先輩の髪が、夕日に反射して…」
「……」
「紅緋色…とても綺麗」
するりと髪を梳いた小さな手を青龍は咄嗟に掴んだ。
そして鼻がくっつくくらいに顔を近付ける。
「…誕生日は、俺をやる」
「へ?」
拍子抜けした声で聞き返す丙にもう一度。
「誕生日の【ぷれぜんと】は、俺だ」
「………」
しばらく硬直していた丙は、意味を理解したのか表情を輝かせ、青龍にぎゅうっと抱き付いた。
「嬉しいです、先輩!」
「っ………」
その反応に青龍は初(うぶ)な表情を見せるも、穏やかな笑みを浮かべ、その存在を大切そうに抱き締めた。
(いいのかこれで…)
(良いんじゃない?丙くん18歳なんでしょ?)
(そういう問題じゃないだろ…)
(んふふ、青い恋はもうできないよ)
(終)
1月2日、丙くんの誕生日記念に書いたもの
展開が強引(笑)
Thx!→Largo様、彩色図鑑様
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