チンピラのサイドストーリー
劇鼠らてこ
第1話サンド君とバルガーさんとマリィベルちゃん
「ギャハハハハ、何やられてんだサンド! あんなひょろっこいガキに負けて悔しくねぇのかァ? ギャハハハハハ!」
「っせーよ! 思ったより力強かったんだよ! そんなに言うならお前もやってみやがれバルガー!」
「ギャハハハハ、やなこったね! 俺ァここで酒飲んでる方が楽しいんだ。目の前の出来事を肴にな!」
「ちっ、あぁ知ってるよ! だがあの野郎、俺の愛しのマリーちゃんの頭に触れやがって……、クソッ!」
「何が俺の愛しのマリーちゃんだよ! 5年間ずっと相手にもされてねークセに!」
「うっせぇ! さ、最近名前で呼んでもらえるようになったんだぞ! どうだ! 羨ましいか!」
「ギャハハハハハハ、自分から目も合わせられねェチェリーボーイがなんか言ってるぜぇ!」
「うっせぇっつってんだろ! そういうお前はどうなんだよバルガー! もう35だろお前!」
「あぁん? なんだ、知らなかったのか? 俺ァ結婚してるぜ? だからこうして毎日入り浸ってんじゃねェか!」
「はぁ!? 聞いてねーぞ! それに、バルガーお前、朝から晩までここにいるじゃねえか! いつ稼いでんだよ、嘘つくなよ!」
「ギャハハハハハハ! 嫁さんが稼いでるに決まってんだろ! 俺は悠々自適に酒飲む毎日よ! 言葉ァ返すぜ! 羨ましいか? ギャハハハハ!」
「ぐっ……、う、羨ましい……じゃねぇ! は、恥ずかしくねぇのか!? それってつまりヒモだろ? プ、プライドとかねぇのかよ!」
「あっちが俺にベタ惚れなんだよ。金は稼いでくれるってんだから、それに越したことはねぇだろ? ギャハハハハ、冒険者の俺なんかよりよっぽど高級取りだしなァ! ん? どうだ? 羨ましいか? ギャハハハハハハ!」
「ちっ、見下しやがって……俺だってマリーちゃんとくっつけば、そんなこと……!」
「私と、誰がくっつくんですか? サンドさん?」
「マ、マリーちゃん!? いや、これはだな、その……」
「ギャハハハハ、マリィベル! こいつはさっきのガキに嫉妬してんだよ! お前をとられたーってな!」
「ち、違う! 何言ってんだバルガー! 適当なこと言うな!!」
「はぁ、私がとられた、ですか……。誰の所有物にもなった覚えはないんですが……?」
「い、いや! だから、これはその、馴れ馴れしく、あのガキがマリーちゃんに触れたから……、あ、いや、なんでもないんだ! そうだ依頼! 依頼受けてたんだった! じゃ、じゃあ俺は行ってくるんで! バルガーてめぇ、覚えとけよ!!」
「あ、お気を付けていってらっしゃいませ……全く、もう。もう少し落ち着いて話してくれたらいいのに……」
「ギャハハハ、お前も大変だなマリィベル! そろそろ愛想尽かしてさっきのガキにでも鞍替えするか? ギャハハハハ! あのガキ絶対大成するぜぇ?」
「バルガーさん……わかってるんでしょう? 5年も待ったんです。今更気持ちなんてかわりませんよ」
「カァーッ! 一途だねぇ、あいつもお前さんも。おっさんには眩しいぜ。相思相愛なんだから早いとこくっついちまえよ! 見てて面白いからいいけどよぉ」
「えぇ、できるのならば、そうしたいのですがね。5年前に、彼が約束してくれたことを踏みにじってしまうのはどうかと思いまして……」
「ギャハハハハ、そういうトコロがじれってーんだよ! うちの嫁さんなんか、ガツガツ肉食系だぜ? 遠慮なんかしてっと、誰かに奪われちまうぞ? あいつ、顔はともかく性格はいいからな!」
「顔だって、かっこいいですよ……。あ、すみません。なんでもありません。私は業務へ戻りますね。バルガーさんも、飲みすぎは体に悪いですよ?」
「ギャハハハハハ、はいはい、気を付けまーっす、ってな。全く、若いってな、おもしれぇなぁ」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます