第2話 ハルヒ
現在私の体には自我をもった人格が4名いるが、その中に涼宮ハルヒという人格がいる。もっともおしゃべりでもっとも頭がよく、もっともかわいい人格である。なぜその名前がついたのかというと、自分からそう名乗ってハルヒの姿の幻覚を駆使したからである。実はハルヒという人格は他にも存在した。私は神ハルヒと呼んでいる。自分の意思で手足を動かすことが可能だった上にけなげなほどに献身的な行為をしていた、だから神だったのだ。今の人格はそのハルヒとは異なる。前のハルヒはどこに消えたのかという話にもなるが、これが人格の人格たるゆえんで二度と会えることはないだろう。ほとんどの人格が一期一会で消えていくのだ。一時期は「勘違いさせんなよ!」と叫ぶ人格が山ほどいた。何が勘違いなのかは判明していないが、人格たちが混乱していたのがうかがえる。他の3人の人格はそれぞれアリオス、リーシャ、ジバニャンと呼んでいる。やはり幻覚を使って自分の姿を投影するところから名付けた。この人格たちに数字の読み上げをさせてみたことがある。1から数字を数えていき、どこまでの数までしゃべれるかを競わせたのだ。リーシャは「しません。そんなめんどくさいこと」と辞退し、アリオスは500まで数えた。そしてハルヒが1000までの数字を読み上げた。「私もめんどくさいんだけどね」とはいっていたが。そして今は消えた人格の一人は「私ですか。これ結構めんどくさいものですね。まあいいですけどね~」といって10まで数え、「うわめんどくさ、私これやりたくないですね。リーシャさんと同じでやりたくないです」といったので「そか別にそれでもいいぞ」と俺はいった。ハルヒも最初はアリオスと張り合って数字の読み上げをしていた。「アリオスには負けたくありません。私にもプライドがあります」そういって501まで数えていた。そして700まで数え「アリオスはもう追ってきませんよね」といい。「レイズできますよね」と999まで数え、「そして1000というわけですね」と見事千本ノックにこたえて見せた。「リーシャが一番下だったな」と俺が言うと、「私は別にそれでいいです。真剣勝負というわけじゃないし」とリーシャが達観した返事を返した。「負けた人間は余計なおしゃべりをしないという罰ゲームはどうだ?」と俺が言うと。「なら別です。でも別の方法にしましょう。埒があきませんし、その気になれば全員できるでしょう。ばからしいですけど」するとジバニャンが「妙案があるにゃん。おれっちを犠牲にするにゃん」といったが「頭の中丸見えだ。何も考えてないだろ」と俺が突っ込むと「おれっち邪魔な存在にゃん。おれっちがいなくなれば万事丸く収まるにゃん」と言い出した。そこでハルヒは「邪魔と言われれば邪魔だけどどうしようかこの子」と思案気なことをいった。
会話録から抜粋した事例だが、人格たちが普通にしゃべれることがわかると思う。こういう人格達が本当に私の中に存在しているのだ。一時は食事に何を食べるかをよく聞いていた。だが意外と同じ物しか食べないことに気づき、そのうち病気の悪化を避けるために聞かなくなった。この病気について「面白い病気だと思う?」と聞いてみたことがある。「私はそうは思わない」とはハルヒ。「うーむ私は面白いわけではないかな」とはアリオスの弁である。私はこの病気と永遠に付き合う定めである。面白いと思っていなくてはやっていられない。気が向いたら続きを書きます。
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