聞いてくれます、こんな話

たちばな

ここは田端です

 中学生の頃のお話しです。


 山手線(東京の環状線です)に乗って、渋谷から日暮里へ向かっていました。

11駅。時間にして約30分。

 暇を持て余していた私は、一緒にいた友人とおしゃべりに熱中し、ふと気が付くと、電車はなにやら見覚えがある駅に到着していました。

 もしかして、この駅は?

 未熟者中学生の私は、出口にダッシュしながら振り返る余裕もなく友人に叫びました。

「ここ、日暮里じゃないの!?」

 ……と、私の正面から女性の小さな声が。

「田端……」

   :

   :

   :

 私、今まさに乗り込もうとしていたその人に大声で尋ねていたんです、どう見ても。


 ものすごく恥ずかしかったですけど、一応お礼は言えました。

 でも、でも……日暮里駅まで降りられません。

 声高に下車駅を宣言していますから。


 田端-西日暮里-日暮里 と2駅間、とても長かったです。

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