第2話 午前9:45
時間に縛られるのは嫌いだ。なので、目覚まし時計というものは生まれてから一度も使ったことも触ったこともなく過ごしてきた。時間に縛られるのは嫌いとは言っても、目覚まし時計がなかったら、自動的に自分の身体が時計代わりになってくれるので、基本的には時間に遅れることはない。と思っていた。目覚まし時計がなくても問題なく過ごせてきたのは、腹時計ならぬ眼時計が、起きる時刻になれば自分の目を自分で勝手に
5:20に起きて二度寝したのが
家では、時間を確認するのは手間がかかる。まず目覚まし時計がない。それから、時間に縛られるだけではなく腕を絞めつけるのも嫌なので腕時計も持ってない。それから、この小さなアパートの壁を傷つけてはいけないと散々大家さんに忠告されたものだから、壁に釘を打ち込むわけにはいかず掛け時計もつけていない。(
大学の授業なんてサボってなんぼという考えが世間に蔓延しているので、別にサボるのは特に何も思っていない。昨日だって午後からは自主休講して、アニメを一挙に観ていたくらいだ。(そのせいでこの時間に起きてしまったわけだが。)こんなにも落ち込んでいるのは、遅刻確定の起床に成功してしまったことではなく、自分の眼時計が狂ってしまったことだ。眼時計に全幅の信頼を寄せていたので、わざわざサボる必要性もなく、一限は必ず出席していた。朝のすがすがしい日光を浴びながら受ける授業というものは
結局、一限は諦めた。もっと言うと、二限も諦めた。今から急いで家を出ても大学に着くのは一限が終わった直後だろうし、二限に急いで出席する気力もない。今日は午後から講義に出席しようと思って、テレビをつけたままシャワーを浴びることにした。
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