星教育
Nachtmusic
星教育
1人のR星人が地球にやってきた。
地球人は当初彼の出現に大変驚き、地球を侵略するのかと怯え頭を抱えていたが、彼がどうやら地球に好意を持っていること、武器を持っていないこと、地球と友好関係になりたいことが翻訳機を通して伝わると、一気に歓迎ムードになった。彼の見た目が肌の色が青いこと以外は、地球人に近い身なりをしていたことも大きな要因の一つだった。
R星はロケットの開発技術などの点では地球よりもはるかに技術革新が進んでいるようだが、食糧や衛生、医療などの点では地球よりも劣っているらしい。地球人の代表は、将来的にR星とお互いの技術を交換することを約束した。
R星人は好奇心旺盛だった。
彼の乗っていた小型宇宙船が降り立った地の大統領やR星人の世話係に、「あれは何か」、「これはどういうことか」と逐一聞き込み、メモを取っているようだった。
あるとき、世界中の国家首脳が集まり、R星人と対話する、という企画が実現した。その会合は世界中に生中継され、地球人はみなその放送を見ていた。
各国首脳もR星人もそれぞれに疑問をぶつけ、また答えるという形式で大変和やかに会合は進んでいった。
R星人は地球人たちに聞いた。
「地球人はどうやって数を増やしているのですか?」
これに対し大統領たちは、「我が国では少子化対策に力を入れている」、「増えすぎて困っているぐらいだ」など様々な返答を出した。
ところが、R星人は珍しく首を横に振った。
「そういうことじゃなくて、どうやって子どもを作っているのですか?」
首脳たちは気まずそうに顔を合わせたが、ある1人の首脳が、「男と女がある行為をすると自然にできる」と言った。
「じゃあその2人で実演してみてくれませんか?気になります」
指さされた男の大統領は、「あの黒人ババアとはごめんだ」と毒づき、女の国家主席は「あのハゲ?F××K」とののしったので、2人でけんかを始めた。この2人以外は、笑いをこらえたり笑ったり気まずそうに下を向いたりR星人に憤ったりと反応は様々だった。「そもそももう無理だろ」「絵的に勘弁して」と野次が飛んだりした。
放っておかれたR星人は、地球人の反応の多様さに驚き、こう思った。「こうやって人間は増えるのか、騒がしいなあ」
星教育 Nachtmusic @blazikenzapdosferrothorn
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