第6話 アントアネット王国への旅立ち!
<てくてくてく>
「アンドリュー、大丈夫?」
みーなは肩に乗るアンドリューに話し掛ける。
[あぁ…かたじけない。いろいろ
『アンドリュー具合が悪いでゴンスか?』
「あぁ、ゴンスの耳に入ったり、みーなにシャカシャカされたり、ゴンスの町の入口と出口で毒ガスくらったり、ゴンスパパから攻撃くらったりで大変なはずだよ」
[うぅ…みーなは優しいのだな…]
「えーふつうだよ!あ!さっきの林だ!ゴンスあれ取ってー!」
『お!“ストロピーチ”でゴンスな!わかったでゴンス<もぎっ>』
ゴンスは鼻で器用に果実をもいでみーなに手渡した。
「これんまいんだー!アンドリューも食べる?」
[あぁ、これは我が王国も総出で苅りに出掛けるほど大切な食糧だ。少しいただこうか]
「そうなの?ゴンス。あと2つ取って!」
『はいでゴンス<もぎっもぎっ>』
「これはアンドリューのお土産にしよう」
[これはかたじけない!いやぁ、女王もお喜びなさるぞ!]
「ゴンス。アンドリューがありがとうって!」
『え!?こんなんでよければいつでももいであげるゴンスよ』
「アンドリュー、ゴンスがいつでも取ってあげるってさ!良かったね!<カシュッモジュモジュ>あ、アンドリュー少し取っていいよ!」
[さようかッ!これが一つあるだけで王国の食糧は非常に助かる!山を越え、命懸けで木に登り、時にはたくさんの命を犠牲にしながら今までは年に一度の祭事の為に採取していたのだ!ゴンス殿、恩にきる!あ、みーな殿、かたじけない。<もぎ、ちゅぱちゅぱ>]
「良かったね~!あ、丘だ」
[“灼熱の山”…ここで幾人もの兵士が息絶えるのだ…]
ところどころ草が生えていないハゲた丘を、みーなとゴンスはテクテクと談笑しながらふつうに越える。
[…でかいだけで便利なものだな…我々は命懸けで…!]
「あ!いやー“灼熱の山”ふつうに越えてゴメンよアンドリュー!い、いやぁ、暑いね!」
『みーな、暑いでゴンスか?』
「ばか!ゴンス、演技だよ演技!」
『演技?』
[ふ…いいんだみーな。我々なんかちっぽけな生き物だった…今日わかった。たくさんの新しい世界に触れ、自分の世界がいかに小さいかを思い知らされたよ…]
「あーなんかって言っちゃダメだよアンドリュー。アンドリューにはアンドリューにしか出来ないことがあるんだから!」
[私にしか…出来ないこと…?]
「そうだよ~!その小さい体だから、ゴンスの頭に入ったり出来たんじゃん!」
[なるほど…そうだな…]
「でしょ~だ・か・らそんなこと言っちゃダメだよ~!」
『みーな、本当にアンドリューと話し出来てるんだなゴンス』
「えー!しゃべれるって言ってるじゃーん!もー!ホントに君達は頭が固いなぁ!もっといろんなことに目を向けないとダメだよ!」
『ブハハ!そうだゴンスね!』
[さようだな…かたじけない]
「そうだよー!この世界はたくさんの“愛”に包まれてるんだから!」
[たくさんの…愛…?]
「そうだよー!今度二人とも家においでよ!プリクゥア見せたげるから!愛のパワーから生まれる“プリティラブアタック”とか最高だよ!」
『あー!さっき言ってたやつでゴンスね!見たいでゴンス!』
[みーなの家か、見てみたいものだな]
「でしょー!おいでおいで!今日帰れたら、みーなお誕生会するんだから!マチコの特製シチューグラタンとかホント美味しいよ!」
[ふ…そうだな…あ!みーな!ここだ!]
「え!?ここ?」
『何もないでゴンス』
[我々の王国は地下にあるのだ。下ろしてくれるかみーな]
「あ、はーい」
みーながアンドリューを下ろした先には、小さな穴が開いていた。
[では二人はここで待っていてくれ。私は女王様と話をしてくる]
「わかったよ~!ゴンス、ここで待っててって」
『わかったでゴンス』
そう言うとアンドリューは小さな穴の中に入っていった。
「…暇だね。ゴンス」
『そうでゴンスな…』
二人は屈んだまま小さな穴をじ~と見詰めていた。
「よしゴンス!待ってる間、プリクゥアごっこしよぅ!私“あおいちゃん”ね!ゴンスは敵やって敵」
『あ!やるでゴンス!』
そう言って二人は近くの広場でプリクゥアごっこを始め、しばらくその世界に没頭していた。
一方その頃、ブロインは猛スピードでマンモス民主国へたどり着いていた。
「ガネシャ皇王!ガネシャ皇王はいるかッ!」
『おぉブロイン。久しぶりだガネ。もうわしは皇王じゃないガネよ。あ、そうそう。みーなが遊びに来ておるぞ』
「みーな様が!今どこにおられるかッ!?」
『さてのぅ…うちの息子とそこら辺で遊んでいると思うガネ…』
<ピピ…>
“イディアパワー952反応有”
「失礼するッ!」
ブロインは一礼するとすぐにその場を走り去った。
『やれやれ、久しぶりに来たのにせっかちだガネ…』
ガネシャはそう言うと改めて農作業を始めた。
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