第2話 異世界への旅立ち!
「…ゲフゥ、あー美味しかった!ごちそうさまマチコ!ねぇねぇ、今日の晩ごはんはなーにー?」
「今日はー、みーな様の大好きなー…
“マチコ風スペシャルクリームグラタン・お誕生日仕様”ですッ!」
「きゃー!さいこーマチコ!ひゅーひゅー!パフパフパフ!<おしりふりふり>」
「センキュー。
さぁさぁみーな様、歯を磨いたらこれに着替えてくださいな」
マチコはピラリとピンク色の頭が薄いヘルメットのようになっている全身タイツを取り出す。
「えぇ~、全身タイツじゃぁん。可愛くないなぁ~い」
「こ・れ・は!みーな様の為に特注でこのマチコがあつらえたものなんです!このタイツを着ないと『ブロイン』は始動しません!
しかもこの『超ウルトラスーパー形状記憶繊維』で作られたタイツには全身にナノマシンが施されており、例え高さ100mのビルから落ちても無傷でいられる代物なんですよ!さらに体温調節も思いのまま!極寒の星でも灼熱の星でも活動が可能なんです!
そして…ジャーン!」
マチコがタイツを裏にすると、背中に“365人はプリクゥア”のバックプリントが施されていた。
「きゃーッ!マチコさいこーッ!ひゅーひゅー!
じゃあまぁ仕方ないから着るか!」
「はい歯を磨いてからですよ~」
「はぁ~い」
<シャコシャコシャコシャコ…>
「みーな様!」
ひょいとマチコが洗面所に顔を出す。
「ふぁい」
「お誕生日、おめでとうございます!<にっこり>」
「ふへへ~あいあとうマヒコ」
みーなの心がほっこり温まる。
<ガラガラガラガラ…ペッ!ふきふき…>
「マチコのお誕生日には何サプライズしようかな~?」
そんなことを考えながら、着替えを済ませリビルングへ向かう。
「着たよ~。マチコこのヘルメットについているヘッドフォンみたいの何?」
「それは“ブロイン”とみーな様の
「はぁ~い」
かぶりかぶり。
「まぁ!よくお似合いですわよ」
「そうかなぁ…」
鏡を見ると、ピンクの全身タイツ姿のみーなが姿を現した。
「ふふふ、では“お茶会の部屋”に行きましょうか」
「あれ?“ブロイン”は?」
「“ブロイン”はみーな様が“お茶会の部屋”まで呼んでもらいます。そこで“ブロイン”とリンクして今日のところはおしまいです」
「へ~わかったよ~!早く終わらせてプリクゥア一緒に見ようね!」
「えぇそれはもう!(ふふふ…ブロインを“呼ぶ”だけで歴代宗主の中でも“天才”と呼ばれた先代ですら一ヶ月も掛かったのですよ…)」
「マチコ、心の声もれてるよ。え~疲れるのヤダなぁ~」
「あ!まぁ慣れればすぐですよ!さぁさぁ!」
-別館・お茶会の部屋-
「これさ、意外とあったかいね!」
「この“あったかモフモフ感”を出すのが苦労しました」
「これマチコ作ったの!?」
「そうですよ。一針一針、心を込めて縫いました」
「しかも手縫い!マチコすごいね!」
「執事ですから…」
マチコの頬がほんのり桜色に染まる。
「で、どやって“ブロイン”呼ぶの?」
「はい、まずはみーな様お気に入りの席に座ってください」
「はい」すとん。
「そこは“
「そうなの!?」
「ちなみにその木のテーブルがメインコンピューターです」
「えぇー!みーな小さい頃めっちゃミルクこぼしたよ!」
「えぇ…懐かしい思い出です…(さめざめ)
これも全てみーな様とブロインをさりげなくリンクする為の“マチコ大作戦”でした…」
「ひょっとしてライオンやトラとか野性動物と遊ぶのも…?」
「あぁ、懐かしゅうございますね。“リアルサファリパーク”。手配が大変でした…」
「あの時みーなさ、熊さんに撫でられて大ケガしたじゃんか!!」
「はい…みーな様は血まみれになって“ある日森の中ごっこ”に勤しんでおられましたよね…」
「ま、まぁそうだケド。そっかーなんか家ってよそとは違うな~と思ってたケドそういうことか~」
「はい、さようでございました。
ではみーな様、早速ですが、テーブルに両手を置いてくださいませ」
「はい、こうでいい?あ、光った!」
みーなの置いた手からテーブルが光出す。
「はい、よござんす。これがみーな様の“
「えーなにーそれってすごいの?」
足をぶらぶらさせながらみーなが聞く。
「歴代ブッチギリトップですよッ!みーな様!
やっぱりマチコの育て方は間違ってなかったのですね…(さめざめ)」
「ふぅ~ん。“
「あぁ…懐かしいですね…ぷくく!あの時のみーな様の顔ったら…!」
「あれはヤバかったよ!いきなり底の見えない谷にバンジージャンプだよ!しかも“縄を伝って登ってこい”とか鬼かと思ったよ!みーな3才だったよ3才!」
「まぁまぁ、それがあっての“1,208”でございますよ…(しみじみ)」
「んでさ、この数値はなんなの?強さ?」
「はい、強さは強さでも心の強さ、“
そこで劉家では“イディアパワー”としてそれを乗り越えた時の心の強さを数値化し、よりよい人生を歩むことを使命とされました。
たくさんの人生経験を積むことが“イディアパワー”を高めていきます。ちなみに一般的に普通の人のイディアパワーは“5”です。」
「ふぅ~ん。なんとなくわかったわ。んでどやってブロイン呼ぶのさ?
早くプリクゥア見ようよッ!」
「はいはい。
ではみーな様、心の力を高めて強くブロインを呼んでみてください」
「心の力を高める?」
「“イディアパワー”とはいわゆる“想い”の力です。強く心で念じるのです」
「ん~、わかった。やってみる。
んんん~!」
途端にみーなの体が両腕から金色に包まれていく。
「“ゴールデン・フィトン”ッ!ここまで…ここまで高まっていましたか…みーな様、みーな様…!(さめざめ)」
「んんん~ッ!!」
<ピピピピピ…>
「イディアパワーの値が3,000を超えた!?まずいッ!」
その瞬間、みーなの体は光に包まれながら、ふわっと浮き上がった。
「ブロインッ!!」
マチコが目をクワッと見開いてブロインを呼ぶとリビングにいるブロインがゆっくり目を開いた。
<ブゥン>
「早くおいでッ!」
“
<キュイン…ピピピピ…>
“お茶会の部屋”
<ドヒュンッ!ドガンッ!ドガン!ドガンッ!>
ブロインは“最短距離”で壁を壊しながら“お茶会の部屋”へたどり着く。
みーなの体はキラキラとした光に包まれながら端から消えて無くなっていっていた。
「ブロイン!みーな様を追って惑星E-7『エレファントアント』に出向せよッ!」
「了解した」
ブロインはテーブルに片手を置くと、みーなと同じように光をまとい輝き出し宙に浮かぶと、そのまま端から消えていった。そしてその途端、みーなの体は消えていなくなった。
「まさか初めてのイディアパワーの解放で生身のまま“イディアホール”に旅立つなんて…」
マチコはそういうと、静かにお茶を淹れてイスに座り、ズズズ…と緑茶をすすった。
「ま!いっか!」
こうやってみーなは初めての異世界、『エレファントアント』に旅立って行った。
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