→はい

 ・

 ・

 ・

「……そう」


 ユリアさんは、優しく微笑んだ。


 ぼくはドキドキしていた。マイケルのトモダチなんだから、マイケルのやったことは、自分のせいだと思う。


「こっちいらっしゃい」


 ユリアさんに呼ばれた。

 ニコニコ笑って、ユリアさんは手招きする。

 逃げ出したかったけど。

 行った。


 どうやって謝ろうかと思った。「はい」と「いいえ」ぐらいしか、あんまり喋ったことがない。

 そんなことを考えていたら――。


 がばっと、ユリアさんに抱きしめられた。


「マイケルのお友達になってくれて、ありがとう。キミは優しい子ね。強い子ね。我慢強い子ね」


 なんか、めっちゃ、ほめられた。

 叱られると思っていたから、びっくりした。


「大変でしょうけど。友達でいてあげてね。あの子。ほんと。しょうがない子だから。あなたぐらいしか。友達いないの」


 ユリアさんがぎゅーっと抱きしめてくるものだから、ユリアさんの胸が顔にあたっている。

 マイケルがおっぱいって言ってたやつ。やわらかい。


 ユリアさんはまだ放してくれない。

 かちんと固くなったまま、ずっと、棒みたいに突っ立っていた。


「そうだ。キミ。名前は?」


 ようやく放してもらえる。

 名前をユリアさんに言った。もちろん村長につけてもらったほう。一般受けするほう。


「わたし。ユリア。……よろしくね」


 彼女は、すごくやさしい笑顔をうかべて、そう言った。

 こちらこそ。

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