愛される理由
ひょん
第1話
幼稚園のお迎えの時間から30分程過ぎた頃、雅彦はパンクした自転車を走って押しながら園内に駆け込んだ。
「すいませーん!自転車は園内に乗り入れないで下さい!」
門の近くに立っていた先生に注意されて、慌てて門の外まで戻り、自転車を置いて小走りに園舎に入って来た。
息子の裕太が、先生と手を繋いで立って居た。
「先生すいません!おお、裕太ゴメン!自転車がパンクしちゃって。」
「パパ、またあの道行ったんでしょ。」
家から幼稚園に来るまでの道で、建設材料を積んでおいてある敷地があり、そこを通り抜けると多少のショーカットになる。しかし、釘やら針金やらが落ちていて、これまでも何度か通ってパンクしている。
「ダメって言ったのにー!」
「ごめんごめん。急いでたから。先生すいません。」
雅彦が遅れるのはしょっちゅうである。うたた寝して寝坊。途中でこけた。忘れモノを取りに帰った。道を間違えた。理由は色とりどりだ。
先生は呆れ顔で、「今度は時間通りお願いします。」と一応は言うがまるっきり期待していない。
「裕太くん、じゃあまた明日ね。」
「先生、ごめんね。よく言っとくから!」
幼稚園児の息子に言われつつ、雅彦は先生に向かって何度も頭を下げながら、幼稚園を後にするまでに2回つまずいた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます