第5話 演劇俳優をこなす社会人
(5月1日)
突然ですが自分は大学三年間演劇サークルに所属していました。
演劇というものは物凄く大変な表現媒体です。三カ月や二カ月前から準備する時もあれば一カ月で準備しなければならない時もあります。そしてどの準備期間でもかなりの時間をとられます。
役者一つ考えてみても自明の理でしょう。主役だとほぼ全シーンに主演するのでその人が居ないと日々の稽古が成り立ちません。主役じゃなくとも役作りだったり台詞覚えを稽古外の時間でしなければならず、必然的にかなりの時間を有する表現媒体です。
小説も一作書き上げるのにかなりの時間を有しますが(一部の天才は除きます)、小説は一人の作業が多いので他人に時間の制約を受けることがありません。
実はこの特徴、小説独自のものなんですよね。
同じデスクワークの漫画はアシスタントさんと共同で仕事をしますし、映画やテレビなどの映像媒体では様々な人が関わります。
その中でも演劇は、公演のために準備をすると共に、その発表の時間は全員揃っていないといけません。
かなり時間を消費される表現媒体といえるのです。
しかも、収入がほとんどないです。寧ろ赤字です。赤字前提で行う表現活動が演劇です。
(ここらへんの詳しい話は有川浩著『シアター!』を読むとわかりやすいと思います)
上記の条件から、大学を卒業してから演劇に携わる人たちは社会人としてお金を稼ぎながら参加する人々か演劇人として演劇だけをして立派な俳優を目指す人々にわかれます。
割合としてはどちらが多いんだろう……考えたことなかったな……。
我がサークルの卒業生では断然後者が多いです。
……という訳で(どういう訳で?)、今日は友人と共に演劇を観に行きました。
サークルの先輩やら後輩やらが出ている演劇で、かなり大きな舞台でエネルギッシュに演じていたのが素晴らしかったです。
その中で凄いなと思ったのは、友人からこの演劇で主役として出演していた先輩の話を聞いた時です。
この先輩はとある会社に三年間勤めていて、仕事の傍ら演劇をしているというとてつもない先輩です。しかも年に一本ということではなく年に二、三本参加しており、先輩のフェイスブックでは様々な役柄の写真が投下されています。
で、演劇を観た後友人に「先輩まさか社会人の傍ら主役だったとは」と話しかけた後、こんな話になりました。
自分「そういや先輩って就活の話題をツイッターで流してなかったね。どんだけ受けたんだろ」
友人「んー。なんかね、四社だけしか受けてなかったらしいよ」
なんとこの先輩、四社しか受けていなかったにもかかわらず、興味のある業界にとっとと内定を頂き、しかも仕事をしながら演劇をしているという最強な就活を成功させた猛者だったのです。
四社か……そんくらいのお祈りメールはもうとっくの昔にもらったなあ……(遠い目)
まあでも友人の話では演劇頑張っているので出世はあまりしないと思うということも先輩は言ってたらしいです。
ここはほんと優先順位の問題ですね。
自分が何をしたいのか。
そこを見極めて、今後も就活頑張ろうと思います。
(16分)
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