雨の匂い
雨の匂いがする
あたたかな地球の香り。
気だるい昼下がりの雨だれは
優しく切なく私を濡らす。
それはきっと
遠い過去から滴るひと雫。
パタパタと静かに歌うひと雫。
柔らかな水は
肌を流れてその奥へ。
ああ。
こんな日に想うのは、いつも。
白金の雫に濡れた
あなたの震えるまつ毛だけ。
雨の匂いがする。
あたたかなあなたの香り。
ああ。
こんな日は、きっと。
私は家へは帰らない。
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