鮮度
楽しかったこと、悲しかったこと。
全ての思いはやがて消えていくものなのですか?
炎の様に真っ赤な夕焼けに見とれた感動も、
朝顔が芽吹いたその日の喜びも、
今はもう、薄もやの向こう側。
心も思いも新鮮さが大切なのかもしれない。
ある朝、知らず泣いて目が覚めた。
懐かしくて幸せな、母の夢。
いい香りのする母の手が、私の頬を包み込んでくれた。
台所に立って、料理をしている後姿を見た。
初めて自転車に乗れた時、褒めてくれた優しい笑顔。
そして「ごめんね」って私を抱いて泣いた、あの日。
どちらが夢なのかわからなくなって、私はただただ慟哭に暮れる。
最期の時を何度も反芻しなければ、私は夢から覚めることが出来ない。
忘れたい。
忘れたくない。
こんな思い知りたくなかった。
そう。気が付かないだけ。
思いはいつでも新鮮なんだ。
だって、こんなに。
胸が詰まる。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます