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 ――翌日。

 クロを詰めた鞄をブラブラさせながら、いつもより早めに学校へ向かっていると、予想通り、通学途中で見覚えのある三人を見つけた。


「ありがとうゆんゆん! 助かったー! お礼は必ずするからね!」


「い、いいよお礼だなんて! と、友達だから! そ、その……、それより、このまま一緒に学校に……」


 それは、ふにふら、どどんこ、ゆんゆんの三人だった。

 ゆんゆんからなにかを受け取ったふにふらは、愛想笑いを浮かべながら。


「あー……。ご、ごめんね? 今から、すぐにこれ持って行ってあげないとさ」


「そうそう、急がないとふにふらの弟が……。ゆんゆんは先に行ってて?」


「あ、そ、そっか……。ごめんね気が利かなくて……。それじゃ、また学校で」


 そう言って、二人に笑顔を見せたゆんゆんは、一人トボトボと学校へ向かった。

 しょんぼりと肩を落としながら歩く後ろ姿が哀愁を漂わせる。

 それをしばらく見送ると、ふにふらとどどんこがポツリと言った。


「ちょ、ちょっとだけ良心が……」


「い、痛むよね……」



「フフフ……。それならば、そんな事しなければいいものを」


「「!?」」


 背後からの私の声に、二人はビクッと震え慌てて振り向く。


「めぐみん!? いつからそこに!?」


「わ、私達とゆんゆんの話は、どこから聞いていたのさ!?」


 私は隠れていた茂みの中からゴソゴソと這い出しながら。


――――――――

*以下、めぐみん妄想


「どこから聞いていた、ですか? それは……」

「へぇ…こんな物読んでるんだ?」

「あははっっていうかこんなタイトル初めて見た――」

「いつも一人ぼっちだしカワイソーって感じだよねぇ」

「うぅ…」

「こんなもの読まなくったってさ――私達が友達としてあそんであげるのにね――」

「本当っ!?」

「わっ」

「うっ…うん」

「ええと…これが友達同士のあそび…?」

「そ、そうよこの間の身体測定の時聞いたけどまた育ったんでしょ…?」

「ちょっと見せてみなよー!」

「あ…あの初めてなので優しく…お願いします」

「は、はい」

―――――――――


「と、ゆんゆんに、恥ずかしい秘密を暴露されたくなければ黙ってエッチな要求を聞けと、二人が脅していたところからですよ」


「してねーから! あたし達、そんな事はしてねーから!」


「なんでそんな要求するのさ! あんた、私達をなんだと思ってんのよ!」


 私の軽い冗談に、二人は真っ赤になって抗議する。


「ちょっと、その……。ゆんゆんからお金を借りただけよ。実は、あたしの弟が、さ……」


「そ、そうそう。ふにふらの弟が病気で、その薬代が必要になって。私達の手持ちじゃ足りなくって、カンパしてもらってたのよ」


「ほう、そんな大変な事に……。まったく水臭い、それならそうと、この私にも相談してくれればよかったものを」


「「えっ!?」」


 私の言葉に驚きの声を上げてのけ反る二人。


「なんですか? この私が、困っている人を助ける事がそんなに驚きですか? それとも私に喧嘩売ってるんですか?」


「ち、ちがっ……! そうじゃないけどさ、ほら。その……。あんたって超貧乏じゃん」


「だよね。いくら困ってても、めぐみんにお金借りるってのだけはないわー」


「ぶっ殺」


 鞄をブンブンと振り回して攻撃態勢に移った私に、二人は顔を引きつらせた。


「じゃ、じゃあ、どんな手助けをしてくれるつもりだったのさ!」


「そうそう、そこまで言うならお金貸してくれんの!?」


「貸すわけないじゃないですか。誰に物を言っているんですか。相手を見てお金を借りるといいですよ?」


「「こ、こいつ……!!」」


 二人がこめかみをヒクヒクさせながらこちらを睨みつけてくるが、私としても別にからかっている訳じゃない。


「まあ落ち着いて聞いてください。二人がお金を欲しているのは薬のため。なら、別にお金でなくとも、どうにかして薬が手に入ればいいのですよね?」


「えっ……! いやまあ、そうなんだけどさ……」


「どうにかして、薬が手に入るあてでもあるの?」


 口々に言ってくる二人に私は不敵に微笑んだ。


「まあ、紅魔族随一の天才に任せてください」


 その自信たっぷりな私の言葉に、二人は不安気な顔を見合わせた。

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