第40話-来訪


二月某日。

名古屋の街はいつも通り活気に溢れ、地下にも地上にも いつも通りの時間が流れる。

忙しそうな日常を送る人。

何かを考えて歩く人。

何かを探している人。


それぞれが、それぞれの目的を持って歩く。

あの人も、あの人も。



しかし、誰も想像すらしないだろう。

この日に、この時に、この街が大きく動いていた事を。




当然の事ながら、この日名古屋の地に降り立ったばかりの男、神戸 灘は、この街で何かが起きようとしている事も、そしてこれから自分がそれに巻き込まれるという事も、知る由もない。


活気溢れるこの街の人波に飲まれ、男はこう口走った。


「思ってたより都会だな。何か警察も多いし…何かあるのか?」




しかし考えてもわかるわけがない。

知らない という事は、そういう事である。


男は大きめのキャリーバッグを引き、案内表示を追いかけ、地下鉄を目指した。

伏見駅のとあるホテルに到着する頃には、彼は疲れ果てていた。



明日は大切な日だ。

せっかくの名古屋の夜を楽しもうか、少し迷ったが…男は早めに眠りにつく事にした。

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