6-4 歓楽都市プタマラーザ その2

 猫人ケットたちの暮らしぶりを知るため、プタマラーザの迷路のような街区の奥深くへともぐりこんだ俺たち勇者パーティー。見知らぬ人影からすれ違いざまに手をつかまれ、俺はとっさに腰の剣に手をかけた。だが、


「お兄さん!」

「ん?」


 ずんぐりとした外套を跳ねあげた顔は意外にもあどけなさの残る少女で、俺は中途半端な姿勢のまま固まってしまった。

 

「お兄さん、お兄さん。旅の人かにゃ? 優しそうな顔にゃ。お兄さんなら特別に30ゴールドでいいのにゃ。とっても、とーっても、サービスするのにゃ」


 むにょん、という感触が腕に押しつけられ、栗色の天然パーマの女の子が身体をすりよせてくる。ふわふわとした茶色の猫耳。丸顔ですこしふっくらとしているものの、幼い見た目には健康的でちょうどよい。


「こら、その手を離すのにゃ。アタシたちは遊んでいる暇はないのにゃ」


 間に割りこむようにして俺の身体を引き離すと、ユズハが突然からんできた猫人ケットの娘をにらんだ。

 幼い娼婦はとまどいの表情で指をあごにあてると、


「あれ? もう相手がいるのかにゃ?」


 ユズハを見て、眉間にしわを寄せて「うーん」とうなる。狭い路地を一列に歩いてきたから、後ろからセシア、ネネ、スクルドも続々と合流してきた。男1人女4人のパーティーとなった俺たちをキョロキョロと眺めて、猫人の少女はさらに思案げな表情となったが、ポンと手を打つと、


「よし! OKなのにゃ。ククリは相手が何人でも、女の人でも大丈夫なのにゃ。

 ひとり30ゴールドだから、5人だと、えーと、100ゴールド? だけど、大負けにおまけして半分の50ゴールドでいいのにゃ!」


 無邪気に笑う。こんな魔窟のような場所で出会うには、あまりに屈託のない笑顔。張りつめていた俺の警戒心まで溶かしてしまう。

 

「たぶん、30かける5だから、150ゴールドだとおもうぞ。その半額なら75ゴールドだな」

「うにゃ! お兄さん、天才かにゃ!? でも、お金を多く払うように訂正するにゃんて、やっぱり頭悪いにゃ。ククリはもう値引きしないにゃ。75ゴールドにゃ」


 ククリと名乗る少女は外套を羽織ったまま、ほどよい大きさのおっぱいを俺の腕に押しあててくる。見た目は悪くなく、性格も良さそうなのに、どうして治安の悪い裏通りで客引きなどしているのだろうか。


「カガト、相手をしたらダメにゃ。ククリっていうのかにゃ、悪いけど、アタシたちは女遊びをしにきたわけじゃないにゃ。他を当たってほしいにゃ。

 ――イシス団の言ってたことは間違ってなかったにゃ。ここにいる猫人ケットたちの暮らしはたしかに厳しい。けど、人間に虐げられている、とまで言えるかどうかはまだわからないのにゃ」


 ククリが不思議そうにユズハを見つめる。


「お姉さん、街の外から来た猫人ケットなのかにゃ?」

「え? まあ、そうにゃ。リンカーン王都から来たにゃ」


 パアッ、とククリの茶色の瞳がわかりやすく輝いた。ユズハの手を両手でつかむと、外套の下に隠された尻尾をパサパサと音が鳴るほど振った。

 

「すごいにゃ! 王都には見上げるくらい大きなお城があるって聞いたにゃ。本当かにゃ? あと、木がいっぱい生えてる『森』には行ったことがあるかにゃ? 水が地平線まで続く『海』の話も知ってたら教えてほしいにゃ」


 ククリの純粋無垢な熱量に負けて、ユズハは手を振りほどくことができない。助けを求めるように俺を振りかえり、さりとて、ククリを預けることも躊躇ちゅうちょして立ち往生している。

 砂ぼこりの舞う暗窟には、あいかわらず怪しげな風体の猫人ケットたちがそこかしこに座りこんだり寝そべったり。一様に生気はなく、こちらを見向きもしないものの、どこからか俺たちを監視するような視線は感じる。さりげなく左右に目を配るものの、それらしい人影は見当たらない。俺はククリの手にさっと100ゴールド銀貨を数枚握らせると、


「君にすこし聞きたいことがある。ちょっといいかな」

「あ、あ、こんなにたくさん。ククリは特殊なことはあんまり上手くできないにゃ。いまは身体も重いし。でも、お兄さんは男前だし、太っ腹だからがんばるにゃ。なるべく痛いことはしないでほしいにゃ」


 怪訝な表情を浮かべるユズハたちに「イシス団かレッドスコーピオンかはわからないが、俺たちを見張っている目がある。場所を移して事情を聞こう。この子なら嘘をつくようには見えないからな」とささやいた。


「こっちにゃ。狭いけど、許してほしいにゃ」


 お金を外套の中にしまいこんだククリは半壊した土塀をくぐりぬけ、家と家のすきまを利用して設えられた、布で覆われただけの一画へと俺たちを導きいれた。扉は布を垂らしただけ、天井は麻布を何枚か重ねただけ。砂塵をおびた風に打たれて、カサカサと乾いた音が響いていた。床には古ぼけた絨毯と薄っぺらい布団が敷いてあり、広さは3畳くらいだろうか。ククリを含めて6人もはいると、膝詰めで座ってもかなり窮屈になる。


「それじゃ、お兄さん、服を脱ぐのにゃ」


 そう言うと、ククリも無造作に外套を脱ぎ捨てた。

 ブラも何もつけていない生のおっぱいが、ふにょん、とこぼれおちる。そこそこおおきく柔らかそうな釣鐘型のおっぱい。ちなみに乳首は陥没している。

 いや、注目すべきところはそこではない。おおきく突きでた特徴的なお腹。

 ククリは妊婦だった。


「あ、気にしないでほしいにゃ。いまは安定してるから。できる姿勢は限られるけど、いっぱいくれたお兄さんのためならがんばれるのにゃ。したいこと、してほしいことも遠慮なく言ってほしいにゃ」


 俺の視線を受けて、お腹をさすりながら照れ笑いを浮かべるククリ。あどけなさの残る顔と、母性に包まれた身体の曲線のコントラストが美しい。


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『 ククリ・マウ 』

プタマラーザの路地裏で春をひさぐ少女。

【種 族】 猫人ケット

【クラス】 娼婦

【称 号】 逃亡者

【レベル】 1(F級)

【愛憎度】 ☆/-/-/-/-/-/- (F級 優しそうなお兄さんにゃ)

【装 備】 ピンクの下着(F級)

【スキル】 交渉(F級) サバイバル(E級) 猫会話(E級)

      隠密(E級) 水泳(F級)

      料理(E級) 裁縫(E級) 性技(E級)

      性の奉仕(F級) 

      楽観主義

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 クラスの欄に記された「娼婦」という単語が俺の脳髄に突き刺さる。

 過去の周回のグランイマジニカは全年齢対象の健全な世界であった。ありうべからざる職業をこの世界に導入したのは、まぎれもなく俺。俺の飽くなき欲望が世界を侵食し、「生殖システム」として結実したとき、金色のウインドウにはたしかに「『クラス』に『娼婦』『男娼』『性奴隷』が追加された」と表示されていた。ククリをこの苦界に陥れたのは他でもない俺自身。俺が彼女を娼婦とし、このように身重の身体でも客引きしなければならない立場に追いこんでしまったのだ。

 あまりににがい現実に俺が蒼ざめたまま言葉を失っていると、隣りのセシアがそっとククリに服を着せなおした。


「ククリさん、私たちはそういうことをしにきたのではありません。このプタマラーザの街について、人間ノーマ猫人ケットの皆さんの関係について、話を聞かせていただきたいのです」

「……ボクたちは魔王を倒すべく旅をしている勇者のパーティーなんだ」


 ネネの一言で、服をかぶせられて当惑していたククリの顔に赤みがさす。


「すごいにゃ! あの、世界を救ってくれるという勇者さまかにゃ!?」

「そうにゃ! アタシたちが世界を救うのにゃ!」


 腕を組み、胸を張って、一番偉そうな態度でユズハが深くうなずいた。そこから、横目でククリのふくらんだお腹をチラリと見て、ためらいがちにたずねる。


「もしも、もしもの話だけどにゃ、ククリは猫人ケットの王さまが治める猫人ケットの国があったら移り住みたいかにゃ?」


 ぽかん、と口をあけたまま首をかしげたククリはお腹をさすりながら、


「ククリはこのプタマラーザで生まれて、プタマラーザで育って、街の外に出たことがないのにゃ。だから、別の国に行くのは不安だにゃ」


 耳を澄ませると、おおきなお腹から、ポコ、ポコ、と音がする。

 「あ、この子、また、おならしてるにゃ」とクスクス笑い、いとおしそうに撫でてから、ククリはユズハの目をまっすぐに見つめた。


「ククリはこの子と安心して暮らせるなら、どこでもいいのにゃ。いまのプタマラーザはちょっと不安だから、もし優しい王さまがいて、子どもたちにお腹いっぱいごはんを食べさせてくれるなら、そんな国に住みたいにゃ」

「プタマラーザでは不安なのにゃ? どうしてかその理由わけを聞かせてほしいにゃ」


 ククリは困ったようにほほ笑み、


「お姉さんは外から来て、まだこの街の仕組みを知らないのにゃね。ククリはあんまり説明が上手じゃにゃいけど」


 ことわりをいれつつククリが話してくれた内容をまとめると次のとおりだ。

 プタマラーザでは猫人ケットがお金を稼ぐ方法は限られていて、飲食店の下働きや富豪の召使いとして食うや食わずの生活をおくるか、一発逆転をめざして娼館で娼婦や男娼になるしかない。どちらの働き口でも身重になった時点で解雇されるため、すぐに堕胎するか、生まれてくる子どもを借金のカタにして食いつなぎ、ある程度おおきくなったところで子どもを娼館に売りわたすかの2択を迫られる。


「な、なんにゃ! それは!!」


 激昂するユズハをセシアがなだめて話の続きをうながすと、


「でも、借金のカタにできるのは純血の猫人ケットの子だけにゃ。人間ノーマとの混血は人間ノーマからも猫人ケットからも除け者にされるから値段がつかなくて、堕胎ろすしかなくなるのにゃ。

 ククリのお客さんは人間ノーマばっかりだったから、この子は混血。娼館では役立たずだから、食い扶持を確保するためにも、赤ん坊は生まれてもすぐに水に沈めて殺されてしまうのにゃ。だから、ククリは逃げたのにゃ」


 ユズハの咽喉のどがゴクリと鳴った。


「その子の父親が好きだったのかにゃ?」


 ふるふると首を振るククリ。


人間ノーマのお客さんはいっぱいいたから、誰がお父さんかはわからないにゃ。でも、生まれてくる前から『要らない』と言われるのはきっと悲しいから。ククリは拾われ子でお母さんがいないからよくわかるのにゃ。

 だから、この子のお母さんになるククリだけは、この子を見捨てない。この子のことを『要らない』にゃんて、決して言わないのにゃ」


 ユズハはうつむき、ギリッと歯を噛みしめた。自らも親の顔を知らないユズハにはこたえる話だろう。ククリの言葉に心を激しく揺さぶられていることは間違いない。唇はきつく結んだままなのに、ユズハの胸のうちから声があふれだしてくる。


「――でも、アタシに何ができるにゃ? 街の人間ノーマと戦って、それで幸せになれるのかにゃ? 復讐じゃない道を見つけないとダメなのにゃ。アタシが王さまになってみんなを導くとしたらどんな国にするのか。それを示さないと、みんなが不幸になる。でも、アタシに何ができるにゃ?」


 自問自答でぐるぐると堂々めぐりし、ユズハは涙に濡れた瞳を俺に投げかけた。


「カガト、お願いにゃ。アタシに力を貸してほしいにゃ。アタシひとりじゃ抱えきれない。けど、どうしても、猫人ケットが安心して子どもを産める場所をつくりたいにゃ」


 狭い室内で俺は腕をひろげて、ユズハ、セシア、ネネ、スクルド、そしてククリも円陣を組むように肩を抱きよせて、力強く宣言した。


「俺たちは勇者パーティーで、そして、いずれ家族となる仲間だ。ひとりでは難しいことも協力すれば必ず実現させることができる。全身全霊をかけて、俺はこのリンカーン王国を、猫人ケットであろうと、人間ノーマであろうと、その間にできた子供だろうと、わけへだてなく笑いあえる国にすることを誓う。じゃないと、俺も安心してユズハと子づくりできないしな」


 息がかかるほど間近なユズハの顔がみるみる紅潮する。ズズッと鼻をすすりあげ、


「カガトはすぐに話をエッチなほうに持っていくのにゃ。子どもとか、アレとかソレとかは目の前の難しい問題が全部片づいてから、魔王を倒して、オシリス団のみんなも解放されて、アタシが猫人ケットの王さまになって、いたれりつくせりの三食昼寝つきの身分になってから考えることにゃ。

 ……でも、ありがとうなのにゃ。勢いで言っちゃったけど、カガトが応援してくれるなら心強いにゃ。

 ――ヤバいにゃ、ヤバいにゃ! 胸がドキドキするにゃ。アタシはセシアやネネみたいにはならないはずにゃのに。カガトが近くにいると、お腹のあたりがキュンキュンするにゃ! これはもしかしたら、オシリス団のおばちゃんたちが言ってた発情期さかりというやつなのかにゃ!?」


 ピロリン♪ ピロピロリン♪ とユズハの愛憎度がものすごい勢いで上昇していく。セシアとネネが「ライバルが増えるね」と視線をかわし、吐息をついた。

 

「もちろん、私も協力しますよ。父が望んだ世界はこのような理不尽な差別がまかりとおる世界ではないはずですから」

「……ボクも。ユズハには何度も助けられてるし」


 ユズハが赤茶けた猫耳をピクピクと震わせて、セシアとネネの手を握り、「2人ともありがとうにゃ!」と感謝の言葉を伝えると、ひとり冷静に話の流れを見守っていたスクルドが小さく手を挙げ、


「でも、どうやって、猫人ケット人間ノーマを仲良くさせるん? ユズハ姉さまがあのイシス団とかいう盗賊団の頭目になって、ここの領主と騎士団とを追い払うん?

 たしかに猫人ケットのお姉さま方の扱いはひどいけど、アザミのときみたいに相手が魔物やないからな。勝ったとしてもその先、リンカーン王国内でうまくやってけるかどうか。だいたい、他の七大貴族が黙ってるわけあらへんし。

 カガト兄ちゃん、本当にそれでええの?」


 俺が危惧していた当然の疑問をさらりと議題のテーブルに乗せた。

 興奮していたユズハが力なくうなだれ、セシアとネネが視線をさまよわせて、カサカサと揺れる天井の麻布を見つめた。

 そう。誰かが一度、現実を告げなければならない。夢物語のまま突きすすむにはあまりに無謀な目標だ。その役割が若干12歳のスクルドというのは苦笑せざるを得ないところだが。

 俺は「うぉほん!」とおおげさに咳払いをして、空気の重くなった場の視線を集めた。


「俺に腹案がある。まずは聞いてほしい」


 静まった三畳間で、あたためていたアイディアを開陳する。

 そう。ユズハを仲間にしたときから、俺の頭の中ではユズハの親代わりであるオシリス団の面々をどう遇するかという問題意識があった。元が盗賊団であるから、牢から出られたとしてもそのまま稼業を続けることは難しい。日の当たる場所に連れだすには他の職業を用意しなければならない。

 なかなか妙案が浮かばないまま日が過ぎ、港町アザミの復興のために「ギルドシステム」というアイディアを練っていたとき、とうとつに点と線が繋がった。

 オシリス団は猫人ケットの集まり。猫といえば宅配便!

 そうだ。オシリス団のために「郵便ギルド」を創設すればいいんじゃないか。

 おもいついてみれば、いくつも利点がある。まずは基本的な要素として猫人は足が速い。盗賊団ならば各地をつなぐ近道も熟知しているはずだし、野営にも慣れている。おまけに、俺たちはすでにドワーフたちの「地底のガッダ」に知己があり、セシアを交渉窓口にすれば「地底のガッダ」「リンカーン王都」「港町アザミ」という主要な街を結ぶ通商網をすぐにでも構築することが可能だろう。事業として、地底のガッダの鉱石・武器・防具をリンカーン王都や港町アザミへと運び、港町アザミの海鮮物を加工して地底のガッダやリンカーン王都へと届ける。元盗賊団ならば荒事あらごとにも慣れていることだろう。多少の魔物であれば自力で排除できるだろうし、俺がアザミに興した「冒険者ギルド」との連携も視野に入れれば、もっと広い範囲もカバーできるに違いない。

 この構想にイシス団を加え、さらに規模を拡大させて、猫人たちの自活のためにアザミで海鮮物を加工する工場を、地底のガッダで宝飾品の工房を立ちあげ、それぞれにギルドを設立する。プタマラーザでは「郵便ギルド」に加えて、各地の工場や工房に猫人たちを斡旋する「人材供給センター」もつくり、ネネに協力してもらって、読み書きを教えていくというのはどうだろうか。


「カガト、すごいにゃ! 本当にやれる気がしてきたにゃ。ありがとうなのにゃ!」


 ユズハが涙も鼻水も垂らしながら感動している。

 俺のシンパのセシアとネネは言うまでもないものの、冷静なスクルドまで「なるほどな。カガト兄ちゃんもアホやないな」と感心しきり。

 ククリもお腹をさすりながら、目を輝かせて聞いている。


「勇者さまはすごいにゃ。ククリは勇者さまに出会えて幸せにゃ。きっと、生まれてくる子が幸せを運んできてくれたのにゃ」


 俺の構想はまだ絵に描いた餅に過ぎない。だが、このグランイマジニカを「生殖システム」によって改変してしまった元凶としては、「娼婦」というマイナス面ではなく、「妊娠」「出産」というプラス面が強調される世界にしたいのだ。そのために、なんとしてもククリの子どもは幸せにしたい。もしかすると、グランイマジニカで真の意味で初めて誕生する赤ん坊かもしれないのだ。

 並々ならぬ決意をたたえて、俺は一同を見わたした。


「まずはイシス団にこの構想を説き、暴走しないよう釘を刺すところから始めたい」

「けれど、どうすれば連絡をとることができるのです? 向こうから接触してくるのを待つばかりでは手遅れになることもありますよ」


 セシアが自身の懸念に眉をひそめていると、輪の中にいるククリが明るい笑顔を振りまいた。


「大丈夫なのにゃ! ククリの友だちがイシス団の隠密をしているからにゃ。手順を踏めば、向こうから来てくれるはずにゃ。

 じつは、娼館から逃げるのを手伝ってくれたのも、ここに匿ってくれたのも、その友だちなのにゃ」


 都合の良すぎる展開に胸が多少ざわつくものの、他にとれる手段があるわけでもなく、俺たちは結局、ククリにイシス団との接触を依頼することにした。

 

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