4-8 世界改変! 生殖システム追加!

 何事もなく夜はしんしんと更けていき、逆に俺の目はらんらんと冴えわたる。

 となりの女子部屋へとつづくふすまをじっと見つめ、今かいまかとラッキースケベの発動に期待するものの、夜の静寂しじまをつたって聞こえてくるのは安らかな寝息のみ。いっそのこと俺もこのまま眠ってしまえば楽なのだが、残念なことにふかふか高級布団にはスリープ機能が付いていない。

 まぶたを閉じれば、うしおのように寄せてはかえす3人の美しい裸身。

 ユズハは、言動は子供っぽいが、身体は十二分に大人だった。

 健康的な小麦色の肌、はちきれそうなほど瑞々みずみずしい乳房、むっちりとした太ももとつややかなお尻。顔立ちも身体つきもラテン系に近く、ファンタジー世界ならではの猫耳と尻尾がメリハリの効いた肉体をより煽情的に飾りたてている。

 人間のものよりやや高い位置から飛びだした三角の耳は感情表現を豊かにし、尾てい骨から伸びた赤茶色の尻尾はゆらゆらと誘うように美尻へと視線をいざなう。ユズハと結婚したら、俺はきっとこの猫耳を甘噛みし、尻尾をつたって臀部でんぶを飽きることなくもみしだくに違いない。

 ネネは、ローブのうえから想像していたよりも、ずっと成熟していた。

 身長は低いものの、ぶにっとしたロリ体型ではなく、手足も腰も華奢で顔も小さいため頭身としてはむしろ高い。胸は小振りであるが、白磁のように透きとおった肌に薄紅色のふくらみはエロスに満ち、漆黒の髪のしたの切れ長の瞳は東洋的な静謐せいひつな美をたたえている。

 そして額に隠された角。巨人ティターンの特徴かもしれないこの角がせいのなかのどうとなり、控えめな印象のネネに秘密の輝きを与え、隠すしぐさが色気につながっている。もっと親密になれたなら、額の角をじかに触り、他の部分も丹念に味わいながら、ネネがどのような表情を浮かべるかぜひ試してみたい。

 セシアは、女神と見まごうばかりの端正な顔立ちに悪魔的な爆乳のコントラストがすでにエロの完成形を示していた。

 おおきくとも型くずれしない柔らかな胸、鍛えぬかれた筋肉に裏づけされた引き締まった腰、そこからつづく安産型のお尻。男の理想といってよい魔乳に顔をうずめ、しなやかな腰に手を伸ばしたが最後、ひたすらに快楽を求めてこの肉体に溺れていきそうな恐ろしさがある。どれほどの力で攻めこもうとも、すべてを抱擁し、さらなる深奥へといざなう魔性。セシア自身が無垢であればあるほど、その裸身がはなつ蠱惑こわく的な魅力は増すばかり。


「……思い出しただけで、これか」


 布団が持ちあがるほどに怒張した獣性。

 この周回がはじまってすでに4日が経とうとしているのに、いまだ寸分も解き放たれない獣が俺のなかで猛り狂っている。凶暴さを増した魔獣は隣室で無防備に眠る婚約者たちの寝息に耳をそばたて、かすかな匂いに鼻をうごめかし、舌なめずりしてよだれを垂れながす。

 さすがにそろそろ外の空気も吸わせてやらなければ、理性の首輪を噛みちぎり、何をしでかすかわからない。けれど、30周にも及ぶ禁欲生活で餌のやり方も散歩の仕方も忘れ、ゴッドハンドもすっかり錆びついてしまった。このまま獣を解き放ったが最後、制止もきかずに暴走し、婚約者たちの柔肉に喰らいつくかもしれない。


「しかし、このままにしておくわけにもいかないか」


 俺がトイレに立とうとした矢先、

 

「――カガトどの、まだ起きていますか?」


 ふすまの向こうからセシアの声がして、俺はとっさに掛け布団のうえに突っ伏した。

 

「あ、ああ、ちょっと寝つけなくてな」

「私も目が冴えてしまって。ユズハはあのまま熟睡していますし、ネネも坑道で魔法を使いすぎたせいかぐっすりと寝ています。

 あの、すこし話をしてもいいですか?」


 うつぶせになったまま、股間の聖剣は布団に突きたったまま。身動きすることもできず、俺は顔だけふすまに向けて「ああ、もちろん。セシアとなら朝まで付き合おう」といつもの調子で軽口をたたく。

 すると、ずるずると布団を引きずる音がして、


 ――ガラリ。


 ふすまが半分ほどひらいて、セシアが顔をのぞかせた。

 いたずらっぽくほほ笑み、


「となりに来てしまいました」


 すこしでも女子部屋に近づこうとふすまの真横に布団を敷いていた俺と、樋をはさんで合わせ鏡になるようにセシアが布団を寄せてきた。

 おもわぬ近さに高鳴る心臓。鼓動にあわせて股間の聖剣もビクンビクンとおおきく脈打ち、自律的な刺激がさらに剣を硬くするという悪循環におちいっていた。


「カガトどのはいつもそのような格好で寝るのですか?」

「まあ、寝苦しい夜はな」


 不自然にねじられた首が痛い。けれど、いま姿勢をずらせば、間違いなく浴衣の裾がめくれあがり、抜き身の聖剣をセシアに突きつけることになってしまう。

 笑って許してくれるのか、はたまた愛憎度が急降下するのか。実験するにはまだ早い、と俺はしばらくこの体勢をキープすることにした。

 セシアは俺と並列になった自分の布団にもぐりこむと、


「今日は本当にありがとうございました」


 肩から半身をもちあげて俺にぺこりと頭を下げた。微妙な姿勢に浴衣の胸もとがゆるくなり、目のやり場に困った俺はセシアの眉のあたりに視点をさだめる。


「坑道で無謀な突撃をしかけた私をバクハツ岩の爆発から守っていただきました」

「そのあとセシアに守られたから、おあいこだな」

「いいえ。守ってくれたのは聖騎士の鎧を遺してくれた父です。

 そして、父に対するわだかまりを消しさってくれたのはカガトどのです」

「ガガーリン王がお父さんの真実を聞かせてくれたおかげだろう」


 セシアが首を横に振る。いっしょにおおきな胸も左右に揺れた。


「私ひとりでは話を切りだす勇気も持てなかったでしょう。カガトどのが私を勇者パーティーのメンバーに選んでくれたから。そして、いっしょに父の話を聞こうと私の背中を押して、そばにいてくれたから。私は父の真実と向きあうことができたのです。だから、カガトどのは私の恩人です」


 夜具の衣擦きぬずれの音がして、セシアがわずかに身を寄せてきた。本人にその気はないのだろうが、浴衣が着くずれて胸もとがさらにひろがり、薄闇に浮かびあがる白い肌が俺の煩悩を刺激する。


「それに、たぶん私は父が亡くなってからずっと不安だったのだとおもいます。アリシア姫を守ることもできず、騎士の目標である父もうしない、身寄りもなくなって。本当は魔王の影におびえて心が悲鳴をあげているのに、耳をふさいで、魔王討伐という大きすぎる目標をたてて、逃げだそうとする自分を無理やり縛っていました。

 カガトどのと出会えなければ、私はきっと死地を求めて突き進み、何の価値も得られぬままむくろと化していたことでしょう。いまは危険な旅の途上ですが、ネネがいてユズハがいて、仲間といっしょにいられることがうれしいのです。魔王討伐のその先も、もしかしたら自分もあの花嫁衣裳に袖をとおすのかと考えると、胸の奥がじんわりとあたたかくなって、こんな気分になれる自分が不思議で。

 も、もちろん、アリシア姫を救いだすという約束を果たしていただいたらの話です。カガトどのが約束を違えれば、私も当然、嫁になるという約束は無しで」

 

 恥ずかしくなったのかセシアが枕に顔をうずめ、足をパタパタと動かす。

 俺は首を不自然な角度に曲げたまま、この心地よい薄闇に身をゆだねていた。こんなにもかわいいセシアを見られるなら、首が一生このままでもかまわない。いや、やっぱり、それは嫌か。

 枕で顔を隠したまま、セシアがささやく。


「以上が私の気持ちです。でも、カガトどのに借りばかりつくっていては信頼して背中を預けられる騎士にはなれません。だから、あの、なにかしてほしいことはありませんか。今日のお礼にひとつだけ。私にできることなら」


 最後のほうは声が震えていて緊張感が伝わってくる。暗がりで見えずらいが、耳が赤いような気もする。必死に振りしぼった言葉には羞恥心が見え隠れして、おそらく俺からある程度エッチな要求をされることも想定しているのだろう。

 だが、はたしてここで本能の赴くままに行動してよいのかどうか。セシアの覚悟に甘えすぎればせっかく築きつつあるスタディな関係が台無しになるかもしれない。ブブー!が鳴らない許容範囲はどこまでか。手を握る、は日和見ひよりみすぎだろう。やはり、ぱふぱふが正解か? いや、中年おっさん臭が出すぎだ。ここは最初の一歩にふさわしく青春アオハルを意識して、


「キスしてほしい」


 言ってしまってから、心臓がバクバクと高鳴る。

 そういえば、前の世界を含めて女性ときちんとキスしたことなどなかった。すでにスクルドとのディープキスは経験しているものの、あれは事故のようなもの。お互いの気持ちを確かめあうキスとは、どのようなものだろうか。

 セシアが無言で布団から身を起こし、顔を近づけてくる。

 俺は不格好に布団に突っ伏したまま。首は横にひねったまま。

 邪魔になる前髪を右手でおさえてセシアが顔を斜めにかたむけ、息が触れあう距離でわずかにためらい、そして、大胆に俺の唇をふさぐ。

 ぎこちない口づけ。触れあうだけで、それ以上の浸蝕はなく、けれど、甘くせつなく脳を揺さぶる。


「……カガトどのが初めてですから」


 セシアの吐息が熱い。

 俺は唇に手をあてがい、柔らかな感触をおもいおこしつつ、


「もう1回」


 コツン、と額を叩かれた。


「すぐにそうやって調子に乗るところが、カガトどのの悪いところです。

 世界を救う勇者としてもっと自覚をもってください」

「勇者らしいふるまいをしたら、またキスしてもらえたり?」

「……時と場合によります」


 照れて視線をそらすセシアがエロかわいい。

 首が横になっているため全景を見られないのが残念だが、彼女はいま女豹めひょうのポーズで俺の頭上に上半身をさらしている。部屋の樋をまたいで四つん這いの姿勢。浴衣が巨乳の重みに耐えきれず、いまにもこぼれおちそうなほど胸もとがたわんでいる。

 もしこのままセシアの巨艦が全貌をあらわにしようものなら、俺の聖剣は布団という鞘をはじきとばし、居合いぬきの速度で抜刀されるに違いない。唇からもたらされた快感はすでに全身へとひろがり、理性を侵す毒となって効きはじめている。


「カガトどの。必ずアリシア姫を救いだしてください。私も勇者パーティーの一員として全力を尽くしますから。魔王討伐を果たして王都にもどったら、あの、きちんと、カガトどののしたいことは全部」


 俺から発せられる不穏な気配を察したのか、セシアがあわてて、


「も、もう寝ますね。今日は話を聞いていただき、ありがとうございました。おやすみなさい」


 自分たちの部屋にもどろうとわずかに身をひいた瞬間、


「――このお宝はオシリス団がいただきにゃ!」


 音もなく後ろから忍びよってきたユズハがセシアの浴衣の帯をあざやかに抜きとり、そのまま仰向けにバタンと倒れて寝息をたてはじめた。

 「あっ」と帯をとられた反動でセシアが俺の布団に倒れこむ。受けとめようと反転した俺が両腕をひろげたとき、浴衣は完全にはだけていた。おまけに俺の浴衣も突きたった聖剣が邪魔をして、前面がほぼ開放状態。

 俺の胸のうえにセシアのおっぱいがダイレクトにぶつかる。

 柔らかさと弾力の絶妙なハーモニー。意識が飛びそうになるほど気持ちの良い、ぷにゅうんと肌に密着する感触。明確に意識できる先端部分。

 

「カガトどの、離してください」


 間近にセシアの顔があり、羞恥で肌が火照っている。

 がっしりと固くセシアを抱きしめる俺の両腕。ますます密着するおっぱい。このままではまずい。そんなことはわかっている。わかっているが、


「セシア、よく聞いてほしい。俺はいま瀬戸際にいる。頭のなかはセシアを自分のものにしたいという欲望でいっぱいだ。

 ここで腕を離せば、自分を抑えられる自信がまったくない」

「だからといって、これだと、ますます」


 頭では理解している。この状態を続けていたら取り返しのつかないことになる。

 いや、本当にそうだろうか? いずれ約束を果たし、セシアとは合意のうえで夫婦の契りをかわすことになる。ならば、行為が先か後かの違いで最終的な結果は変わらないということではないか。

 ――違う! そうじゃない。

 そう考えること自体、理性が獣性に浸食されはじめている。

 不安におののくセシアの顔を見ると、


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『 セシア・ライオンハート 』

勇者カガトの仲間にして婚約者。「龍爪りゅうそうの騎士団」に所属する騎士。

【種 族】 人間ノーマ

【クラス】 聖騎士

【称 号】 堅守けんしゅ

【レベル】 8(E級)

【愛憎度】 ☆/☆/☆/☆/-/-/- (C級 結婚したらすべてを捧げます)

【装 備】 岩模様の浴衣(F級)

【スキル】 長剣(E級) 大剣(F級) 槍(F級) 弓(F級)

      格闘(F級) 盾(E級)

      聖魔法(E級)

      乗馬(E級) 水泳(F級)

      裁縫(F級) 料理(F級)

      勇猛果敢ゆうもうかかん(D級) 聖なる信仰(D級) 騎士道(E級)

      蜘蛛恐怖症

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 ステータスには星4つのC級まで上昇した愛憎度が表示されている。

 F級が好意、E級は友情。D級になると親密さが増し、C級ではグノスン師匠のように信頼で結ばれた関係となる。おそらく恋人と称していいのはC級あたりから。

 このまま勢いにまかせて行為に及んでしまっても、いまのセシアなら受け止めてくれるかもしれない。だが、結婚の前提には「アリシア姫を救い出す」という約束がある。あとから約束を果たすとしても、順序を踏みにじった記憶は古傷のように痛むだろう。


 俺はそんな後ろ暗いハーレムなど望んでいない!!


 唇を血が出るほど噛みしめ、その鉄さびた味で理性をとりもどした。

 抑えようのない衝動はまだ出口を求めて俺の下半身をのたうちまわり、痛みで注意を逸らすことくらいしかできない。


「か、カガトどの! か、硬くて熱いものが太もものところに」


 セシアの悲鳴。屹立きつりつした聖剣がしなやかなふとももに触れて、ますます猛々しく、鋭さを増していく。わずかな刺激でも暴発しかねない危機的状況。


「男の人は皆、このようになるのですか」

「セシアは知らないのか」


 恐々とうなずく。

 ここは自分を落ち着かせる意味もこめて、セシアに男女の性というものについて俺の知ってる範囲でなるべくわかりやすく話して聞かせることにした。

 性知識がほぼ皆無なセシアが驚愕の表情を浮かべて「こんなものが本当にはいるのですか!?」とおもわず笑ってしまうような受け答えをしてくれたおかげで、俺もだんだんと頭が冷えてきた。

 半裸で抱きあう男女が性について学校の授業のように淡々と語りあうのは実にシュールな光景だ。


「カガトどの、だいたいわかりました。けれど、私はまだ、カガトどのと、その、子供ができてしまうような行為は、魔王討伐の旅に支障が出ますし、ネネや、ユズハもいますし、やはり、まだ遠慮します。

 いえ、ずっとダメというわけではなく、最初の約束どおりアリシア姫を救いだし、魔王討伐が果たされたあとなら、男女の愛の儀式を、私としても」


 赤くなって言いよどむセシアに、俺は耳もとに唇を寄せてささやく。


「俺は必ず約束を果たす。だから、この続きをさせてほしい」

「……はい。でも、うまくできないかもしれないので、すこしずつですよ」


 言質をとった!!!


 俺の頭のなかの小人たちが喝采する。だが、やはり下半身の衝動はたぎったままだ。いまこの状況でセシアに手を出すことは断じてできなくなった。ならば、どこかでこのマグマを放出するしかない。

 俺は腕にこめていた力を抜いて、セシアを解放する。

 セシアは、ぼんやりと立ちあがると、緩慢な動作で浴衣をなおした。


「信じていました。カガトどのは女性の嫌がることはしない人です」


 ごめんなさい。ギリギリでした。とは言えず、


「信頼を裏切らないよう努力はする。しかし、セシアの魅力の前では俺の欲望を抑えるのは非常に難しいから、また、さわってしまうかもしれない。キスもしたくなるとおもう」

「わ、私もカガトどのに触れられるのは嫌では……ち、違いますよ、勇者としての正しいふるまいをしていたら、私が許可すれば、すこしはいいです。で、でも、すこしですから。すこしですよ!」


 顔を真っ赤にして「おやすみなさい」と樋をわたって消えるセシアに、俺も「おやすみ」と返答し、ふすまがピシャッと音をたてて閉まるのと同時に立ちあがった。

 反省すべきところは多々あるが、いまは一刻も早くこの激情を処理しなくては暴発してしまう!

 音をたてないように居間につづくふすまをあけ、入り口横のトイレに駆けこんだ。

 31周目にしてはじめて迎える絶頂感。前の世界では身近にあった感覚だが、長いブランクをはさんで正常にさばけるかどうか。溜めに溜めこまれた激情が、ほとんど刺激する必要もなく、ドバドバといつ終わるのか恐怖を感じるほど際限なく吐きださる。


 ――うっ。


 この身体では初めての射精なので、虚脱感が半端ない。白濁した大量の精液が和式トイレの底にねっとりと貼りついている。

 そのままぼんやりと情けない格好でしゃがんでいると、突然、大地が鳴動をはじめた。いや、ただの地震ではない。

 地面が揺れているわけではなく、空間すべてが揺れているような奇妙な感覚。

 そして、俺のまわりを金色の粒子が飛びはじめ、目の前に巨大なウインドウがあらわれる。文字化けしたような見たこともない記号の羅列が滝のような凄まじい速度で流れおち、飛沫が跳ねるようにいくつかの文字だけ浮かびあがる。


『生殖システムが追加された』


 理解できたのは、それだけだった。

 意識が「生殖システム」という文字をとらえると、ウインドウの意味不明な記号が日本語へと置き換わっていき、


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『 生殖せいしょくシステム 』

勇者カガト・シアキによってグランイマジニカにもたらされた『愛憎度システム』から派生した新たなシステム。

生殖せいしょくシステム」により、ステータスに「SPスピリットポイント」が追加された。

生殖せいしょくシステム」により、「性交」「出産」「合体」が可能となった。

「性交」により、ステータスの状態変化に「妊娠」が追加された。

「性交」により、「クラス」に「娼婦」「男娼」「性奴隷」が追加された。

「性交」により、町の施設に「娼館」が追加された。

「出産」により、「クラス」に「助産師」が追加された。

「出産」により、町の施設に「乳児院」が追加された。

「出産」により、「血統」が追加された。

「合体」により、魔物の合成が可能となった。

「合体」により、魔法の合成が可能となった。

「合体」により、神技「合体」が可能となった。

「血統」により、魔物に「貴種」「変異種」が発生した。

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 次から次へと言葉が連鎖し、ウインドウはどんどん下に流れていく。


 なんだ、これ?


 内容はともかく、ウインドウはキラキラと輝いていて、小さな光が拡散していくさまは幻想的で美しい。

 俺は夢でも見ているのだろうか、と頬をつねってみるが、普通に痛い。ウインドウの文字はいつまでも流れつづけているが、さすがにこの状態のまま見続けるのも恥ずかしいので、トイレは洗浄することにした。

 和式トイレの脇にある棒を押しさげると、水がジャーッと勢いよく流れていく。

 するとウインドウも消えさり、あたりは元の薄明かりのまま。

 俺はそこでようやく称号が「ラッキースケベ」のままであることを思いだし、これ以上の事態を避けるべく変更しようとした。


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『 カガト・シアキ 』

勇者リクの意志を継ぐもの。7人の嫁を求めて旅をしている。

【種 族】 人間ノーマ

【クラス】 勇者

【称 号】 性愛の神エロース

【レベル】 8(E級)

【装 備】 岩模様の浴衣(F級)

【スキル】 長剣(E級) 短剣(F級) 斧(F級)

      格闘(E級) 盾(E級)

      風魔法(F級) 聖魔法(F級)

      交渉(E級) サバイバル(F級) 乗馬(F級)

      性技(F級)

      救世の大志(E級)

      周回の記憶

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 自分のステータスに絶句する。

 あわてて称号の説明を呼びだし、


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『 称号:性愛の神エロース 』

グランイマジニカに性愛をもたらした神に与えられる唯一無二の称号。

SPスピリットポイントの上昇に比例して、すべての能力が限界なく上昇する。

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 俺はふらふらと布団にもどると、称号を「神殺しの英雄」に変更し、恥ずかしさのあまりなかなか寝つくことができなかった。

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