実録!ユニット面接試験

やまおⅡ

#01 ベルゼブブ、面接に行く。

某月某日、KADOKAWA本社ビル――


「では次の方どうぞ―」

会議室の奥から、機械的に声がする。


扉を開けるとそこには二人の面接官がいた。

一人はマフィア風の男――名をタテオキという。

もう一人は軽そうな男――こちらの名はヒツジカワ。


今回の面接官にしてドレッドノートの管理者だ。



「あ、どうぞおかけください。そんなに緊張しなくても大丈夫ですよ」

タテオキは言った。


「……」

ヒツジカワはうなずくだけである。


「では、まずは軽く自己紹介をお願いします」

「旧約聖書からきました。決戦型超々ド級フリーゲ ベルゼブブです」

「暴れ」

「よろしくお願いします、ベルゼブブさん」

ヒツジカワの謎発言をスルーして面接を続けるタテオキ。


「さっそくなんですが、弊TCGを志望した理由を教えてください」

「あ、はい。やはり他のTCGのように名前だけの出演というのがちょっと苦手で……。御TCGはそもそものモチーフから採用して頂いていることに感銘を受けて、今回エントリーしました」

「力」


「なるほど。では特技とかがあれば教えてください」

「はい、暴食という特技があります。急に、という訳ではないのですが、衰弱を1~2体にエンチャントできます。この特技は即戦力として、御TCGでも活躍できると確信しています」

「ワンチャン」


「ほかには?」

「魔風でしょうか。こちらは1体だけになるのですが、割といつでも衰弱を1~2枚エンチャントできます。あと実家の関係で、衰弱をエンチャント中の敵軍ユニット1体に80ダメージを与えることもできます」

「恐れ」


「ふむ……ありがとうございました。面接は以上です。結果は後日メールいたしますのでお待ちください」

「よろしくお願いします」


こうしてベルゼブブの面接は終わった。


「どう思う?」

「採用」

「だよな」



後日――



件名:【ドレッドノート】採用内定のご通知


決戦型超々ド級フリーゲ ベルゼブブ様


時下ますますご清栄のことと存じます。

このたびは当TCG採用試験にご来社頂きましてありがとうございました。

厳正な選考の結果、貴殿のSR採用が内定いたしましたので謹んでお知らせいたします。


つきましては、下記の書類意思行きをご準備頂き、平成27年5月28日(木)午前10時に当TCG採用係へご来社くださいますようお願いいたします。なお、当日は印鑑をご持参ください。


ご不明な点がありましたら、ご遠慮なくお問い合わせください。




こうして、ドレッドノートのユニット(と、コード)は採用されていくのであった。




半年後――



禁止カードに指定されたカードは、デッキに1枚も入れることができません。


カード名:ベルゼブブの魔風


<適用理由>

本カードの存在によりデッキを固定化し、ゲーム環境に大きな影響を与えるため。

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