辺境領リネルメ興隆記
常世神命
序章
「ここは・・・・」
(そういえばあたし、横断歩道を渡ろうとして、好きでもない車に惹かれた・・・轢かれたんだっけ?ってかこんな状況でもオヤジギャグが思い浮かぶあたしって・・・という事はここは病院かな?)
そう思い周囲を見回して見ると、病院には似つかわしくない、いわゆる天蓋付きのベッドで寝ているのが分かる。
(えっ!何?思いっきり病院じゃないジャン。という事は轢いた人の家?・・・・というのは無いかそれじゃ誘拐だし)
ふと、起き上がって見ると傍らにはメイド服を着たメイドさんっぽい人が座っていた。
「だ、誰?」
「お嬢様!気づかれたのですね。・・・奥様、奥様、お嬢様がお気付きになりましたよ」
と、メイドさんっぽい人の存在に驚くのもつかの間、更にその言動に驚く。
そのままメイドさんっぽい人は勢い良く扉を開け部屋の外に行ってしまった。
(えっ?何?お嬢様ですとぉ?ちょっと、ちょっとちょっと・・じゃなくて状況を把握しないと・・・)
冷静になって考えるほど、焦ってしまう。
儘ならない。
そんな時・・・
(あれ?何この記憶、あたしは、リルーエット・リネルメで、リネルメ領領主の娘でって何よ、あたしは斯波縷慧やん・・・・・・!!!ひょっとして転生物を実体験!?)
ご名答♪
(いや、何よご名答っておかしいし・・・そうか、あたしってばあの事故で死んじゃったのね。まだ、良い人見付けて無いし、親孝行らしい親孝行して無いしってか、この状況親不孝やん・・・ゴメンね母ちゃん先立つ不幸を許して下さい・・・・・さて、いつまでも悲しんではいられない。メイドさんっぽい人改めメイドさんの言った事とかを総合的に考えると、このリルーエットにも父ちゃん母ちゃんが居てまだ健在。なら前世で親孝行出来なかった分も頑張って親孝行しちゃいますかね)
気持ちを切り替えてベッドから出ようとすると・・・
「おりょ」
足に力が入らず絨毯とディープキスをしてしまう。
「あてて・・・ひょっとしないでも病弱系少女!?」
そこへ、幸か不幸かお笑いの神が降臨する。
ガチャ・・・ビターン!!
目の前の扉が勢い良く開き、起き上がったリルーエットは、その開いた扉に顔面を強打する。
あまりの痛さに声も出ない。
(痛っ~、今時こんなんお笑いでも無いわ)
「リルは、リルーエットはどこへ行ったの」
メイドさんが言っていた奥様もとい、母親と思われる人物が来て辺りを見回す。
その女性は、
「奥様、リルーエットお嬢様はこちらです」
そう言うと、メイドさんは扉を閉めて、その扉の裏に居るリルーエットを見せると、母親は勢い良くリルーエットを抱き締める。
「あぁ、かわいいリルや、誰にこんな事をされたのかしら」
(母ちゃんあんただよ)
(奥様ご自身です)
リルーエットとメイドは、そう思った。
「あぁ、良かったわ。あの人に続きあなたまで流行り病で亡くしてしまったら、どうしようかと思いましたわ」
「仕方ありませんわ奥様、お嬢様は病を患ってから5日も寝込んでらしたのですから」
(何ですと!5日も寝込んでた上に父ちゃんは流行り病で既に他界!?オヨヨ・・・・)
以外とそっちの方がショックであったリルであった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます