49.【ぼくのねこ】

キラキラした目がぼくを見上げている


 小さく鳴いて


 ぼくの手にある食べ物をじっと見ている


ビー玉のような綺麗な瞳は食べ物だけを映している


 ぼくを見て ぼくを見て


そっちじゃないよ


 気を惹こうとするけれど


ぼくのねこは

 手にある食べ物から目を離さない



まったくもってやるせない


 ぼくは呆れてその食べ物を手放した


ねこはさっさと食べ終わり


 どこかに行ってしまったさ



どうせどうせと腹立たしげに

 去った小さな影に溜息ひとつ




それでもぼくは きっと呼ぶ



 あのビー玉のような瞳が見たくて


 可愛くねだる仕草を求め


こっちを見てと気を惹いて




 その鳴き声をねだるのだ





2020/06/09

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