黒髪と青空
@daikichi527
第1話 ボサボサ
汗が噴き出るとはこういうことだと言わんばかりの猛暑日。大学の5限目の授業が終わり、帰ろうとしていると
佐藤 「柳!このあと飲みに行こうぜ!」
柳 「え?やだよ。金ないし。」
佐藤 「は?そんなの気にすんなよ!奢ってやるよ!」
柳 「しょうがないなー...行くか。」
満更でもない。お酒を飲むのは嫌いではないから誘ってくれると案外嬉しい。
佐藤は同じ学科の友達だ。
大学からの付き合いとはいえ、今ではもう完全に気を許している親友になっていた。
何の変哲もないただの大学にもう3年、惰性で通っている。
いつもの居酒屋に着き、席に座った。
店員 「ご注文はお決まりですか?」
佐藤 「飲み放題2人分おなしゃす!」
「そういえば柳、彼女出来たか?」
柳 「出来ないし、別にいらないわ。」
佐藤 「だろうな(笑)せっかくイケメンなのに髪はボサボサきのこだしな(笑)」
柳 「気に入ってるからいいんだよ。」
別に気に入ってる訳では無い。お金が無いのと、人と目を合わすのが苦手で髪を目まで覆っている。まさにきのこだ。こんな根暗に彼女が出来るはずもない。
しばらく飲んでいると実に気持ちが良くなってきた。
柳 「佐藤、女の子紹介してくれよ!」
佐藤 「お前さっき彼女なんていらなーいって言ってたてたじゃねーか(笑)」
柳 「いらないわけないだろ!このきのこですら愛してくれる女の子紹介してくれよ!!」
佐藤 「わかった。じゃあ今度飲み会を開こう。合コンってやつだ!」
僕は生涯女の子と全く縁がなかった。
なかったというより縁を作らないようにしていた。
そんな僕が合コン...
まあ悪くない。社会勉強だと思って佐藤に全てを任せた。
ほどなくして、ベロベロになった僕達は店を出た。
佐藤と別れて駅のホーム。
恥ずかしながらホームで嘔吐してしまった。
きのこから出る胞子のごとく、撒き散らした。
後ろから声がする。
「大丈夫ですか?」
黒髪と青空 @daikichi527
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。黒髪と青空の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます