神醒術士達がわいわいうるさい

@jitaza

第1話 ハザールの矢の構成員がうるさい その1

久光ラジーヴは激怒した。必ずかの常時白目の先輩を除かねばならぬと決意した。ラジーヴは俗世がわからぬ。ラジーヴはハザールの矢の新米構成員である。幼少時代から、幼馴染みの女の子と遊んで暮らしてきた。それゆえ、幼馴染みが絡まぬ事には人一倍鈍感であった。


今日未明ラジーヴは任務を終え、報告の為に近くの支部に寄ったところ、支部の様子がおかしいと思った。まるで誰かの御通夜があったかの様な静けさである。ハザールの矢は組織の性質上、常日頃の空気は明るいとは言えないが、それを考慮しても支部全体が暗い。

脳内ギャルゲー主人公なラジーヴもこれはおかしいと思い、受付嬢をつかまえて何かあったのか、と質問した。受付嬢は営業スマイルで「私にはお答えできかねます。」と返した。有無を言わさぬ受付嬢のプロ対応に気圧されたラジーヴは、支部内で話を聞ける人を探そうとしたが、皆ラジーヴの姿を見るなりそそくさと立ち去って行った。仕方なくラジーヴはこの支部に所属している知人に話を聞きに行くことにした。


知人を見つけるまでは時間はかからなかった。彼がこの時間に休憩していることをラジーヴは知っていたからだ。休憩所に向かい、彼を見つけるなりにラジーヴは質問を浴びせかけた。すると、知人は渋い顔をしながらも、ラジーヴの質問に答えた。

「今日ロジェがこの支部に来るとの連絡があったそうだ。」

「何故それで支部全体が御通夜る。」

「ロジェは私達にとっては恐怖の存在だ。ロジェは本部の者だ。彼の機嫌を損ねると私達は粛清される。この前彼の白目を見て怖がって泣いてしまった子供がいた。その子供に対して彼は銃口を突き付けた。親が必死に懇願して事なきを得たが、放っておけばその引き金は引かれただろう。」

「馬鹿な。彼の白目は僕も怖いが、悪人では無い。何かの間違いだ。」

「こんなところで子供が泣いていては周りに迷惑がかかる。と仰ったそうだ。」

「驚いた。彼は乱心か。」

「いや、彼は規律と重んじているだけだ。それ故に、子供であろうとなんだろうと、規律を破る者は粛清するのだろう。今日は誰が犠牲となるか...皆恐怖で飯が喉に通らない様子だ。」

聞いてラジーヴは激怒した。「呆れた男だ。生かしておけぬ。」



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