爛れた子猫
マリが飼い猫を病院に連れて行くときなどに使っているキャリーバッグの中から何やら物音がします。中を見ると知らない猫が入っていたのでマリはその猫を外に出しました。また入って来られては困るので、キャリーバッグの扉をきちんと閉めました。
一週間後——キャリーバッグから異臭が漂い、物音がするようになったのでマリは不思議に思い中を覗きました。中には子猫が一匹いました。一週間前に追い出した知らない猫が、この中で産んでいったのだとマリは推測しました。ということは……この中にいる子猫は一週間、飲まず食わずの状態でこの狭い中にいたことになります。マリはすこし寒気がしました。一体、この中の子猫はどんな状態なのでしょう。
キャリーバッグの扉を開けて待っていると、子猫が妙な呼吸をしながらゆっくり出てきました。子猫の顔は半分爛れていてゾンビのようになっています。生まれてすぐに劣悪な環境に置いてしまったせいか、または孤独や憎悪で歪んでしまったのか。まりは責任を感じ、その子猫を飼うことにしました。
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