田舎散歩
田舎の広い道路をマリは散歩していました。道路の脇にはぽつぽつと小さな家が建っていていくつかの家の前には軽トラックが停まっています。歩いていると、一軒の家の中から大きな泣き声が聞こえてきたのでマリは気になってその家に近づき、開いていた窓から中へ入りました。
窓辺にベッドが寄せられていたのでマリはベッド上に落ちました。周りでは知らないおばさんがふたり、泣きながら後悔の言葉を連ねています。マリはそれを聞いて「ああ、このベッドの中の人が死んだのだわ」と思い、体を起こして枕の方を見ると目の周りが窪んだ老人の遺体が横たわっていました。死んでからしばらく放置されていたように見えたので、孤独死かなとマリは思いました。
しばらくしてマリはその家を出てまた道路をまっすぐ歩き始めました。途中、暗い狭い空間にクレープ屋さんがあるのを見つけたのでマリは立ち寄りました。店員さんに「生地の焼き加減など、指定できますか?」と訊くと「出来ますよ」と答えが返ってきました。なので「では、すこしカリカリになるように作ってください」とわくわくして注文をすると「お並びになっている客様がいますので出来ません」と言われてしまいました。マリの後ろにはいつの間にかおじさんが並んでいたのです。マリはすこし恥ずかしく、残念な気持ちになりました。そして「ふつうの生地で『キャラメルバナナと生クリーム』をお願いします」と改めて注文しました。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます