不死のふたり

 不老不死の男と女がいました。そのふたりは恋人同士でした。


 ある日、ふたりは病で死にそうな人に出くわして、男は「この人にぼくたちの命をあげよう。ぼくらはもう十分に生きたから」と言いましたが女は死ぬのがこわくて「そうしよう」とは言えませんでした。そうしている内に男は病人に自分の命をあげてしまい、病人は元気になりましたが男は死んで消えてしまいました。


 それからしばらくして———女はひとりぼっちで人混みの中を歩いています。彼女には友達もいません。友達を作っても友達は不死の自分を置いて数十年で死んでしまうから。「わたしも、誰かの命として生きれば好かった」と彼女は人混みの中で、ひとりぼっちで嘆きました。

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